社長ブログケヤキの木の下で
2011年4月19日
0.9と0.5と0.3 2 5
おはようございます、
紙太材木店の田原です。
昨日の話の続き、
気密気密というけれど
どれだけの数値があればOKというのか
基準が無ければ
判断のしようがありませんね。
皆さんはR2000住宅という言葉を
お聞きになったことがあるでしょうか。
カナダが1985年に
カナダの家庭で使っている年間暖房費を
1/4にするという国家プロジェクトとして
「R-2000住宅」を開発しました。
日本ではその技術を取り入れて
1991年に建設大臣認定制度を発足させ、
R2000住宅の普及を図ったものです。
この認定制度は2001年に廃止されましたが
R-2000住宅の特徴は、現在日本で最も厳しいと言われる
次世代省エネルギー基準のIV地域(関東、東海、近畿地方)と比較した場合、
断熱性で2倍、気密性で5倍以上の性能を保証する点にありました。
気密性で5倍以上の性能を説明しますと
25年前のR2000では
床面積1m2につき0.9cm2を規定しているのに対し
(C値=0.9cm2)
現在の日本の次世代省エネ基準では
床面積1m2につき5cm2を規定しているのです。
(C値=5cm2)
カナダでは計画的な換気をするためには
C値が0.9cm2以下でなければならないという認識ですが
日本では5cm2でOKなのです。
分かりやすく言い換えると
カナダでは畳1枚(1mx2mとして)に
サイコロ2個分の穴が開いているのに対し
日本ではそこに
サイコロ10個の穴が開いているのです。
それで計画的な換気を行う
と言うのは無理な話ですが、
日本ではOKです。
なぜ、そんな数値が決められたのか
R2000住宅の導入当初
大手の住宅メーカーはこぞって
参加を表明し取り組みましたが
次々と脱落していきました。
重層構造の代理店システムの大手住宅会社では
研修を受けてもC値=0.9cm2が出せないのです。
R2000のC値は自社施工でなければ
出せない値だったのです。
やがて2001年にはR2000住宅の認定制度がなくなりましたが
替わって出てきたのが次世代省エネ基準
ここでC値はなぜか
5cm2となって再登場しています。
つまり日本では
C値=5cm2以下がきちんと換気できる基準となったのです。
でも
世界では
C値=0.9cm2がきちんと換気できる基準です。
住宅メーカーのいう
C値=2cm2で次世代省エネ基準を遥かにクリアしました!
などと言う言葉を素直に信じないで下さいね。
日本の基準自体が
業界の都合や官僚の天下り先が
自分達に都合のいいように
決めた数値だと私は思ってます。
けして、そこに住む人の健康や安心のためのものではありません。
世界基準から見れば
なんとも御粗末な数値でしかありません。
ですから、
次世代省エネ基準で家を建てても
冬には風邪をひきそうなくらい
寒い家になってしまいます。
今の日本の住宅の性能は
発展途上国並みなのですが
だれもそういう感覚を持っていないのは
とても悲しい現実ですね。
世界基準ではC値=0.9ですが
個人的にはC値=0.5が一つの目安と思っています。
参考までに
最近ドイツのパッシブハウスは
C値=0.3以下のようです。
それでは
皆さん、また明日。
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