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社長ブログケヤキの木の下で

2023年4月28日

古い建物の再生


おはようございます、
紙太材木店の田原です。
以前お話しした長屋の屋根の梁が
雨漏れで腐朽していた件。
建物は大正の初めに建てられて
既に100年以上経ってます。
長屋として使われていましたから
不用品やいつか使うかも?と言ったものを
置いておく建物です。
薪や古い障子や雨戸、ムシロやみそ樽…
昔は味噌は自家製でしたから、
味噌部屋という
味噌を作る部屋もあります。
そこには階段の無い二階があるのですが、
生まれてこの方
足を踏み入れたことがありません。
さて、当時の建物の多くは
古材で使えるものは使う。
長さの足りないものは継ぎ足して使う。
それが当たり前の時代。
長屋となれば
更にその感が強くなります。
現在の新築で使うような柱や梁はありません。
屋根瓦の撤去だけで150万ほど。
建物全体の解体となると
更に費用が掛かります。
中に入っている不用品の処分もありますから
全て解体してとなると、
数百万はかかることになります。
と言うわけで梁の補修に合わせて
屋根の瓦も葺き替えとなったのですが、
母屋や垂木は100年以上前のもので、
ある意味先ほどお話しした長屋仕様。
小屋組みは一部を残して撤去し
新しいものにすることにしました。

昨日は既存の小屋組みを撤去し
丸太梁を入れて、
母屋まで完了することができました。
さて、古い建物の再生。
部分的な再生や全面的な再生など、
手法はいろいろあります。
今回の工事も大工さんと協議しながら、
どの部分をどのようにするか検討を重ねました。
このような古い建物の改修には
経験が必要です。
補修にも様々なやり方がありますから、
大工さんとの協議は必須です。
と言うより、
経験のある大工さんの主導で行うことになります。
再生や大規模な修繕経験のない設計士と
新築しか建ててない大工さんでは、
全くお手上げです。
このような建物の再生、
あるいは大規模な修繕となると
相談先を間違えれば、
残してもしょうがないから
壊しましょうとなります。
それは、一般のここ数十年以内に
建てられた建物にも当てはまります。
断熱性が無いから
耐震性が無いから
気密や換気も全てが
今の基準以下だから
そんな理由でリノベーションは無理と
自分で思い込んだり、
相談した設計士や工務店、HMからも
同じようなことを言われ
解体してしまう。
それがずっと続いてきたのが日本…
古い建物の補修や再生、
断熱や耐震の改修には
技術や経験、知識のすべてが必要ですが
習得には時間がかかりますし
教えてくれる学校や先生はなく、
岐阜県の森林文化アカデミーや
住宅医スクール等
限られたところしかありません。
これから家を建てようとしている方の中には
両親の家、あるいは祖父母の家が
まだ建ってる方も多くいるはずです。
新たに土地を購入し新築を建てるとなると
それらの建物はどうするのでしょう?
ご主人の両親の家
奥さんの両親の家
それぞれの祖父母の家?
それらを全て相続したら
一体幾つの家を持つことになるか
考えただけでも頭が痛くなるはずです。
10年ほど経つと
2000万戸の空き家が
日本中に溢れます。
技術や経験のある
工務店や設計事務所であれば、
断熱改修や耐震改修もできます。
新築しか選択肢が無い訳ではありません。
時代の流れの中で、
そう思い込まされてきた可能性もあります。
土地の購入代だけで
都市部では2000万以上します。
そこに新築の建物を建てるとなれば、
更に数千万が必要になります。
新築を検討中の方は
両親や祖父母の土地や建物があれば
その建物の改修と言うのも
ひとつの選択肢です。
相談先を失敗するとアレですから、
相談先だけはくれぐれも慎重に
選ぶ必要があります。

本日も長屋の屋根の上に
上がらなければなりませんから

これにて失礼します(^^♪

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