社長ブログケヤキの木の下で
2013年11月17日
性能の低いサッシは除湿器と同じ
先月、ドイツのパッシブハウス研究所を訪ねた時にいただいた資料
断熱材が不足している建物の室内
外気温がマイナス5度
室内が20度の時
部屋のどのあたりが何度になり
どこで結露が起こっているかを示しています。
マイナス5度というと
随分気温が低そうに聞こえますが
美濃地方では冬の朝6時頃は大抵この温度になります。
毎年お引渡しをしたお客様の所に記録計を設置して
データを取ってますからわかりますが
結構外は寒いんですよ。
この資料では
ドイツの性能いいサッシを使ってますから
ガラス表面の温度が16.1度と日本のサッシに比べて
格段にいいのですがこれは実は断熱改修する前の
一世代も二世代も前のサッシ
(それだけ日本のサッシが遅れているということです)
こちらは
以前もお話した日本のサッシのデータ
新建ハウジング+1の2月号にの資料です。
日本を代表するサッシメーカの
いろんなサッシを実験した時のデータで
外気温0度
室温20度
相対湿度50%の設定です。
引き違いのサッシと縦滑り出しの2種類のサッシで
それぞれのシリーズ毎のサッシの最低部位のの表面温度を示しています。
赤丸は結露してなくて合格
×は結露するもの
一般に流通している代表的なサッシですが
ご覧の有様です。
さらにこれは外気温が0度の時ですから
美濃地方のようにマイナス5度程度まで下がれば
露点温度は9.27度ですから
合格した4つの中のプラマード3は恐らく結露するでしょうし
残りの3つも結露の恐れがあります。
よく見ていただきたいのは
一番右の欄(枠 障子)です。
これはサッシが何でできているかを示しています。
アルミ樹脂複合は室外側がアルミで
室内側のサッシの枠が樹脂でできていることを示しています。
PVCは聞きなれないと思いますが
これは室外側も室内側も全て樹脂でできているものを示しています。
表を見てわかるように
かろうじて合格しているものは全てPVC
本来なら木製を使うともっといいのですが
価格的に手が出ないケースが多いですね。
つまり、アルミの様に熱伝導率の高いものは
一部でも使ってあれば必ず結露することを示しています。
結露というのは別な見方をすると
空気中の水蒸気を集めて空気の中から水分を取ることを意味します。
つまり、除湿器
性能の低いサッシは除湿器というわけです。
室内が乾燥するので加湿器を入れてる方も多いと思いますが
一方同じ室内で除湿機が働いていることになります。
今回の消費税アップで
新築住宅は数年分先取りされてます。
大部分は上に上げたこの種の(上の4つ以外)サッシが使われていますが、
この日本のサッシが来年以降大きく変わる可能性があります。
複数のルートから聞こえてきますから
まず間違いないでしょう。
サッシの性能が上がれば
日本の住宅も性能向上に向けて大きな一歩を歩み始めることになります。
そうなれば多くの方が悩んでいる結露も
かなり改善されることになりますが
価格が高くては意味がありません、
ドイツ並みの性能で価格も同じなら言うとないのですが・・・
もちろん、サッシの性能アップだけでは足りません。
断熱や気密、換気システムや冷暖房システムも同時に考える必要があります。
先進的な住宅では既に熱交換や水蒸気コントロールも視野に入ってます。
住宅の性能は一般の方はご存知ありませんが今や激動の時代
1年が過去の10年、15年の変化に匹敵するほど激しいものがありますから
これから住宅を建てられる方はじっくり考えても損はしません。
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