社長ブログケヤキの木の下で
2015年1月19日
蓄冷する住宅
おはようございます、
紙太材木店の田原です。
昨日は現場で電気打合せ
配線工事の前に住まい手の方と各部屋を回りながら
最終確認をします。
スイッチの位置やコンセントの配置
照明器具の取付位置など、
図面上では分かっていても
実際の部屋で確認することで
認識のズレを修正することができます。
配線や配管と言った設備工事は
壁や天井の中に隠れてしまいますから
この確認はとても大事です。
さて、
人のいない建物
あるいは工事中の建物もそうですが
どんなに断熱材が入っていても
暖房されてるわけではありませんから内部はかなり寒い。
この原因は蓄冷
つまり寒さ、冷たさを建物が蓄えてる状態
反対が蓄熱ですね、
暖かさを建物が蓄えてることを言います。
熱を蓄える能力を
熱容量と言いますが
熱を蓄えるというと熱さをだけを蓄えると勘違いしそうですが
冷たさも蓄えます。
質量がある石やコンクリートが熱しにくく冷めにくいのは
熱容量が大きいからです。
住宅もかなり大きな熱容量があって
壁や天井の下地のプラスターボード
一枚10kg以上で200枚以上貼りますから
それだけで2トン
その他に木材にも建具にも
あらゆるものに大なり小なり熱容量があるわけで
それらが人のいない間は外気によって
つまり美濃地方であれば
夕暮れから朝方まで
氷点下に冷やされ蓄冷しているということになります。
人の体感気温は
室内の床、壁、天井の温度と気温を足して割ったもので
簡易的に表すことができますが
この床、壁、天井が蓄冷している状態ですから
エアコンなどの暖房器具で室内の空気を温めても
体感気温はなかなか上がりません。
冬季のお引渡し前の新築住宅のケースでは
実測するとわかりますが
Q値が2を切る高い性能の住宅でも
エアコン2台、ファンヒーター1台をフル稼働させて
家中室温を20度以上にしようとすると
二日、48時間かかります。
冷えてしまっている住宅とはこれほど温めるのに時間がかかります。
しかも美濃地方でQ値2を切る住宅ですから
一般的な省エネ基準の家(Q値2.7)では
恐らく3日ないし4日はかかると思われます。
このように
学校や仕事で暖房器具を使うのは
夕方からお休みになる7時間ほどだけで
あとの17時間は暖房されていない建物で
しかも断熱や気密や換気システムが諸外国に比べ劣っている
日本の住宅で次のような走りをする車に似ています。
高速道路を時速160kmでアクセル全開で1時間走り
3時間休憩してまたアクセル全開で走る・・
当然、燃費はとても悪い車になってしまいます。
逆に時速40kmで4時間続けて走るほうが燃費はいいはずです。
もし、燃費が同じ程度ならどちらにするでしょう、
暖房に当てはめれば連続して使った方が暮らしやすいですし
住宅の性能を今の省エネ基準より更に数段上げれば
連続して使った方が燃費は向上します。
20畳程度のLDKで
エアコンだけで足先が冷えるようなら
断熱、気密、換気のどれかにあるいは全てに足りないものがあると思われます。
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