社長ブログケヤキの木の下で
2019年6月7日
25年前でも隔世の感がある住まいの断熱
おはようございます、
紙太材木店の田原です。
梅雨入りしそうな空模様ですが
昨日の暑さよりはましかもしれません。
現在、建替え工事で
既存の住宅を解体中ですが
解体工事に立ち会うと様々なことが分かります。
住まい手の方からは
暑くて寒い家ですが
特にお風呂が寒くて凍えそうとお聞きしていたこともあって
どんな設置がしてあるか確認してみました。
6地域に建つ20年ほど前のHMの軽量鉄骨の家で
外壁はALCと呼ばれる気泡コンクリートの住宅です。
外気に接する床、壁、天井には繊維系の断熱材が入っています。
厚さは5cmですから
当時の日本の大手HMの家では標準的な断熱でしょうか。
お風呂はユニットバスですが
こんな具合に設置してあります。
脱衣室側の壁を剥がして
ユニットバスの浴槽の裏側を見ています。
浴槽には発泡系のクリーム色をした断熱材が吹き付けてあります。
左手側は外壁のALCの裏側がそのまま見えています。
右手側は洗い場で浴槽が洗い場から40cmほど立ち上がっています。
下側は暗い床下になっています。
もう一枚は
そのユニットバスの天井部分です。
正面に見えるのはユニットバスの壁の裏側で
その上は1階の天井裏と言うことになります。
浴室が寒い理由を簡単に言うと
箱のようなユニットバスの周りは(壁4面、床、天井)
風通しの良い床下の空気が流れているから
浴槽自体には断熱材が吹き付けてありますが
見てお分かりのように厚さにムラがあります。
ボコボコと盛り上がったところで2cmほど
平坦なところは2.3ミリでした。
洗い場側のエプロンの裏側も同様です。
外壁側の建物本体の壁には断熱材が入っていません。
当時はユニットバスを取り付ける時にユニットバスを囲う建物本体の壁には
断熱材やPBを貼らないHMが大半でした。
気温0度近くの床下の外気が
ユニットバスの周りを包んでいる(6面)
しかもユニットバス本体の壁には断熱材なんてありません。
さらに言えば
ユニットバスの周りの冷たい空気は
1階の天井裏全体とつながっています。
当時の家が寒いのは当たり前と言えば当たり前ですが
現在の住まいと比べると隔世の感があります。
でも、よく考えると
25年ほど前に家を建てた方の住まいは
上の写真と五十歩百歩の違いしかありません。
30歳半ばで建てたとすると
現在、50代後半と言うことになります。
これから家を建てる方は
それは昔の話と他人事のようにお考えかもしれませんが、
大手のHMが普通にやっていることが
25年後にはNGなんて例はザラにあります。
施工する側の都合を優先した論理
つまり、住まい手側の都合(暮らし易い家にしたい、暖かい家にしたい)ではなく、
自分たちの都合優先の論理(施工性、利益率、回転率)かどうかの判断は
ご自分でする以外ありません。
資本主義の世の中では
最小の投資で最大の利益を上げることが善です。
オーバースペックは組織の中では罪ということになります。
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