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社長ブログケヤキの木の下で

2021年2月10日

知らんがな。


おはようございます、
紙太材木店の田原です。
昨日から城屋敷の家の建前。
棟が上がることを上棟(じょうとう)と言いますが
屋根の断熱を厚くすることや通気を確保しなければなりませんから、
今日も昨日に引き続き建前作業。
今日中に上棟までもっていけるかどうかというところです。
建前と言う言葉は上棟に到るまでの工務店や作業をする側の言葉で、
一昔前であれば住まい手も住まい手の親戚や近隣の方もお手伝いに参加する一大行事。
(瓦を上げたり、柱に砥の粉を塗ったりetc)
皆さん当事者になりますから
建前という言葉は誰でも普通に使い、ある意味共通の認識がありました。
今では建前には住まい手も親戚も参加することはありません。
必然的に建前は作業する側が使うようになり、
建前をした結果の上棟は住まい手が使う言葉になったような気がします。
古い家の屋根裏。
と言っても瓦の下の野地板に合板が使ってある家ですから、
せいぜい20~30年でしょうか。
当時は室内で発生した水蒸気が小屋裏に廻って、
瓦の下の合板の表面に結露を発生させるという認識がありませんでした。
リフォームなどで小屋裏の合板を見ると
水が染みた跡がみられることがあります。
特に北側にキッチンがあってその上にはすぐ屋根があるケースでは、
屋根の合板がかなり傷んでいる場合が多いです。
もちろん、天井には断熱材も入っていませんし
水蒸気を止める気密シートもありませんから、
台所で発生した水蒸気は小屋裏へ逃げ放題。
確かに小屋裏には換気のための隙間や換気口があるのですが、
それだけでは足りないんですね。
結局逃げ場を失った水蒸気は
合板自体に透湿抵抗があるところ、

その上にプラスしてアスファルトのルーフィングがしてありますから、
屋根面からは全く逃げていくことができません。
更にそれ以前の住宅であれば
野地板は合板ではなく杉板やヒノキの板で、
しかも幅が10センチ程度のものを1センチくらい隙間を空けて取付け。
防水紙はアスファルトのルーフィングではなくスギの皮。
熱も逃げていきますが水蒸気も出放題。
結露させようにもこれでは無理です。
幅が10センチの野地板を一枚一枚張っていくのは手間がかかりますが、
幅が91センチの合板であれば作業スピードは格段に速くなります。
杉皮を一枚一枚止めていくよりも
ロール状になった幅が1mのルーフィングもころころと転がすだけで、
簡単に敷くことができます。
作り手が
作業の効率だけを
生産性だけを見てきた時代。
そこにプラスして
「知らんがな」
しかし設計者が知らんがなでは、
住まい手は将来困ってしまうことになります。
先を見据えた家づくりが必要です。

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