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社長ブログケヤキの木の下で

2014年6月6日

断熱材 セルローズファイバーならOKか?

おはようございます、
紙太材木店の田原です。
最近、自然素材派の工務店だけでなく
一般の工務店もセルローズの断熱材を勧めているケースが多々あります、
以前よりも競争原理が働いて価格がこなれてきたからかもしれません。
普及している北海道に比べればまだまだ高いのが難ですね。
これは、それはそれでいいことなのだけけど
未だに気密のことを理解してない実務者がかなりいるので
次のような話も頻繁に聞きます。
「セルローズを使えば自然素材だし
結露しませんから気密シートを張って高気密にする必用もありません・・・
断熱性も上がりますし
お子さんの健康のためにも是非」・・・etc
気密シート
英訳するとvapor barrier
vapor 水蒸気
vapor barrierをグーグルで
画像検索すると一杯出て来ます。
英語での検索ですので
英文ばかりですが
建築で言う気密という言葉の
日本以外の世界中での常識は
水蒸気の移動を防ぐためのシート
これを気密シートといいます。
高気密の意味は高い性能を持って水蒸気の移動を防いでいる家 なんです。
気密の気は水蒸気の気、空気の気ではありません。
上のグーグルでの検索でもお分かりのように
断熱材に気密シートを貼ることは世界の常識ですが
日本では非常識扱いです。
あるいはその意味がわかっていない
多くの実務者(設計者、HM営業、大工、工務店社長etc)
曰く
日本は湿気が多い国だから・・
窒息住宅に住むんですか?
木が腐ります・・
風通しが悪くなります・・
vapor barrierには
壁の中に室内の水蒸気が入り込むのを防止する役割があります。
冬に室内の20度の空気の持っている水蒸気が
壁の中に入り込み
外の0度の外壁に近づけば結露するからです。
ですからグーグルの画像検索でもおわかりのように
コンセントの回りや
vapor barrierのつなぎ目などに
さらにテープを張って
徹底的に水蒸気の移動を防いでいます。
これが世界の常識です。
さて
水蒸気はそれ自体がエネルギーを持っています
皆さんも経験上,ご理解いただけると思います。
気温が30度、湿度が50%ではそれほど暑く感じませんが
80%になるとほとんどの人が蒸し暑く感じます。
水蒸気の持っているエネルギーのせいです。
夏の冷房の効いた室内、外は35度、湿度75%
エアコンの冷媒は低温で室外機には冷房時に発生する結露水が常に流れている状態です
つまり室内の湿気をどんどん結露させて排出している状態です
湿度が下がれば同じ気温でも涼しくなることを皆さんご存知ですね。
vapor barrierの無い普通の家では
この状態でエアコンのスイッチを切ると
恐らく10分ほどすると
ちょっと蒸し暑くなってきたかな
先ほどの涼しさは何処へ?
20分すればかなり蒸し暑い
30分したらもう我慢できない蒸し暑さ
vapor barrierがありませんから
せっかくエアコンで除湿しても
水蒸気は入り放題
セルローズを使っても同じこと
夏の外の高い湿度の水蒸気が室内に大量に入ってきます。
決してセルローズが室内の水蒸気を吸ってくれることはありません
neverです。
逆に冬はどうでしょう
先ほど湿気がエネルギーを持ってると言いました
冬も同じで
気温が18度で湿度が30%と50%では
体感気温が2度違います。
湿度が高いほどエネルギーを持ってるので
暖かく感じるわけです。
ところが
せっかく加湿器で加湿しても
vapor barrierがなければ
どんどん水蒸気は外に逃げてしまいます。
決してセルローズが水蒸気を室内に放出してくれることはありません
neverです。
気温を1度上げるエネルギーと相対湿度を10%上げるエネルギー
実は加熱して温度を上げてやるエネルギーよりも
加湿するほうがエネルギーが少なくてすみます。
つまり室内干しはとっても省エネなんですが
vapor barrierがあっての話
vapor barrier
気密シートと訳されてますが
その役割は
水蒸気の移動を防いで
壁の中の木や断熱材を結露から守ること
また冬は室内の水蒸気をできるだけ長く留め、暮らし易い温熱環境を作ること
夏は外の水蒸気が室内に入るのを防ぎ、快適な室内環境をできるだけ長く維持すること
夏も冬も水蒸気の移動を防ぐことで暖房効果、冷房効果がより長く続くことで省エネであること
計画的な換気を担保するというもの
こういうことがわかっているので
日本以外の国ではvapor barrierは常識です。

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