社長ブログケヤキの木の下で
2012年12月5日
玉石基礎の補強に朗報
こんばんは、
紙太材木店の田原です。
美濃市にある森林文化アカデミーでの講座がようやく終了、
週に一度、4日間、24時間の講習で
木造住宅アドバイザーの講習でした。
20年以上木造の住宅に関わってますが、
まだまだ勉強する事が多くあります。
来年からもう一つ講義を受けますがこれは2年がかり
講義を受けるのにも書類審査と面接がありますから
さて、どうなることやら。
今回の講義の収穫の一つに
古い木造住宅の基礎の補修方法があります。
古い木造住宅と言えば
そうです、石端建ての基礎の補修です。
(古い家は丸い玉石の上に柱がのってます)
建具の建て付けが悪くなると
(建具を閉めた時に柱と建具の間に斜めに隙間が出来てしまう事)
そろそろ建替えるかなどという話しがでるのですが
これは柱の下の玉石が不動沈下を起こしたためで
ほぼ全ての柱の下に玉石があるのですが
それぞれが独立して置いてあります。
その結果、長い年月の間に
あるものは地面にめり込んで下がり
(屋根の荷重が集中する柱など)
あるものはそのまま
(軒先側で荷重がそれほどかからない柱)
柱を支えている玉石がでこぼこになるのですから
柱に繋がっている敷居も鴨居も斜めになります
柱がまっすぐなら斜めの敷居の上を動く建具は
柱と斜めに当る事になります。
言葉で書くと分かりにくいですね。
まあ、玉石基礎では建具の建て付けが悪くなる場合が多い
ということだけ覚えておいて下さい。
紙太材木店の場合、古い民家の改装も多くしてますが
この玉石基礎の補修をどうするかがいつも社内で議論される事になります。
しかし、今回の講師の三澤先生(京都造形芸術大学教授)から
とてもいい方法を教えてもらいました。
なぜ気が付かなかったのか
というような単純で確実な方法ですが
単純で確実と言う事が施工レベルでは大切なこと。
基礎の補強には揚屋(建物をジャッキで持ち上げて基礎を造る)
という方法もありますが、
費用が相当かかるため
泣く泣く保存改修をあきらめる方も多くいました。
この方法なら費用も安く済みますから、
古い民家にお住みで、
なんとか大切に残して次の世代に受け継いでもらいたい
と思ってる方には朗報となります。
特に基礎の補強は耐震性にも関わってきますから
基礎の補強をせずに
上物である木造建物だけを改修しても
抜本的な家の再生にはなりません。
単なる設備の入替えや
表面的な仕上げ材の変更ではなく
構造や温熱環境の改善など
数値で目に見える形にした本来の再生が求められています。
古い民家の再生手法も日々進化しています。
新しく家を建てる事はお金を出せば誰でも出来ますが
古い家だけが持っている価値はお金を出しても得ることはできません。
それはお金を出しても時間は買えないのと同じです。
あきらめて壊してしまう前に
一度ご相談下さい。
それでは
皆さん、次回をお楽しみに。
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