社長ブログケヤキの木の下で
2018年7月2日
古い民家の再生について ①
折立の家 正面玄関 2014年8月竣工
おはようございます、
紙太材木店の田原です。
昨日は朝の6時から土場の草刈
時折、休息を挟んで3時半に終了。
4週間前にも草刈りをしてますが
間が4週間もあるとこの時期の草は伸び放題。
全部刈ってやるっ、という強い意志がないと途中で挫けてしまいますが
何とか完了。
本日は疲労が体に残りながらも気持ちのいい朝です。
さて、古い民家の再生が最近では当たり前のように行われていますが
先駆的な仕事をされた降幡廣信さんが有名です。
ご興味のある方は検索してみてください。
現在の再生工事の主なポイントは
耐震性+断熱性+デザインの3っつでしょうか。
降旗さん以前の古民家の工事は
住まい手と大工さんあるいは工務店の相談で工事内容が決められ、
耐震性や断熱性、デザインよりも
部分改修的な工事がメインでした。
言わば古くなったから新しくする的な改修工事で
その手法は大工さんや工務店の経験と勘に拠るものが大半でした。
多くは真壁の柱を隠し大壁とし
床は合板のフローリングで
俄か洋風スタイルというものです。
ただ、最近はブームのように古い民家を改修して
おしゃれな飲食店や店舗にするケースもありますが、
デザイン優先で耐震性や断熱性などに?の付くケースも多くあります。
日本の再生工事、あるいは改修工事の多くは
先ほども書いたように大工さんや設計者の経験と勘が大半で
改修や再生の手法が法的にあるいは技術的に確立されていません。
ですから、店舗に再生なんてケースではデザイン優先、回転率優先となれば
木造でこの大空間はまずいんじゃないか…
耐震性は何も考えていないという再生工事も出てくることになります。
欧米では古くから歴史的建造物の補修が盛んでしたから、
その補修方法や技術が蓄積され
それが大学での講義の中に組み込まれています。
特に英国では多くの大学に建築病理学という講座があり、
木造に限らず建築物の設計や施工、経年変化による不具合やその診断、予防に関して講義を受けることができます。
もちろん補修方法だけでなく建物の適法性や担保価値の評価など
さすがに古いものは壊さないイギリス人。
様々なリスクを回避し建物を再生しそこに付加価値というより価値を新たに創造しています。
ですから古い建物の補修方法や維持メンテナンス手法など
実務者の中では技術的な共通の認識があります。
残念ながら日本ではこのような講義をしている大学はほとんどありません。
大学では
関東学院大学の中島先生の研究室と
岐阜の森林文化アカデミーの木造建築病理学講座。
民間では
(社)住宅医協会の住宅医スクールぐらいでしょうか。
体系的な古い民家の再生方法などは
これらの講義を受けることで初めて理解できますが、
残念ながら今の現状の多くは
設計者や工務店大工さんの経験と勘が多くを占めます。
もちろん、経験や勘が悪いわけではなく優れた技術者も数多くいますから
その判断は住まい手自身がすることになります。
日本の再生工事にはまだまだ様々な問題がありますが
再生工事自体は増えています。
上記の意味で言えば再生工事はまだ緒に就いたばかりと言っていいでしょう。
不定期ですが古い建物の再生工事について
何回か書いてみます。
折立の家 着工前 玄関
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