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社長ブログケヤキの木の下で

2013年5月1日

古い家の玉石基礎

おはようございます、
紙太材木店の田原です。
古い家の再生
古い日本家屋の一番の弱点は玉石を使った基礎にあります。
玉石を使った基礎は
「石場立て」、「土台敷き」と呼ばれてます。
「石場立て」は
河原で拾ってきたような平たい丸い玉石を地面に置き
その上に直接柱を立てるもの。
もちろん玉石の上面は丸いので
それに接する柱の小口は石の面に合わせて加工がしてある。
玉石を地面に置く前に
地業と言って石を据える地面を付き固めますが、
長い年月の間には
建物や屋根瓦の重さをたくさん支える柱の玉石が沈み込んだり
大水で床下が浸水して玉石の下の土が流されたり
地震で柱が玉石から少しずれたりします。
それに柱の根本が床下の湿気で腐食する場合もあります。
家を支える玉石は幾つもありますから
建てた当初はどれも同じ高さでも
それぞれの高さが異なってくると
敷居が水平ではなくなって
建具がうまく閉まらなかったり
建具を閉めた時にスキマが斜めになったりと
不具合が目につくようになります。
「土台敷き」は
「石場立て」の欠点を補うためにできた方法で
玉石を連続させて並べ
その上に土台を敷いて
その土台の上に柱を立てるというものです。
これなら単独の玉石が柱を支えるのではなく
土台があるため連続した玉石で
一本の柱を支えることが出来ます。
同時に湿気で腐食するのは柱ではなく
交換が容易な土台ですみます。

土台は腐食してなくなっている状態
柱は宙に浮いている
DSCF90.JPG
「土台敷き」でも放置すれば傷む
DSCF0038.JPG

ただ、残念な事に古い民家では
「土台敷き」がしてあるのは
建物の外まわりと土間のまわりだけで
家の内部は「石場立て」というのがほとんどです。
また、たとえ「土台敷き」であっても
「石場立て」よりはいいという程度で
玉石の上に乗っていることに変わりはありません。
30年、50年、60年といった長期的に見れば
「石場立て」と同じ現象が見られます。
こういった建物の土台となる玉石基礎を
どのように補強するか。
建物をジャッキで持ち上げて
新築するのと同じ基礎を作ることも出来ますが
予算的な制約がある場合がほとんど
持ち上げて(揚屋といい、専門職がいます)
基礎を作るとなれば
それだけで数百万は必要になります。
強度のある基礎と土台が無ければ
古い家を再生したことにはなりませんから
設計者はいろんな角度から補強方法を検討することになります。
いくら外観や内装、
設備が新しくなっても
土台や基礎は再生のかなめ
この根本がどのように補強されるかで
再生の本質がきまります。
地味で見えないところですが
数十年という時間を考える必要があります。
日本の古い民家
基礎が堅固なものであったら
その評価も随分違ったものになっていたかもしれません。
基礎が強ければ
床の不同沈下や柱の傾きもなく
建具の建付けが悪く隙間風も入ってくることも
無かったでしょう。

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