社長ブログケヤキの木の下で
2015年1月26日
古い民家の再生
おはようございます、
紙太材木店の田原です。
比較的暖かな日がここ数日続いてます、
寒い家に住んでると室内環境は外気温の影響を直接受けますから
とてもよくわかります。
断熱性や気密性の不足が原因ですが
分かっていても住めないわけではなく
ちょっと我慢するか
暖房費を気にしながら
余計に暖房すればなんとかしのげるということで
そのままという人が多いのではないでしょうか。
我慢、倹約が美徳、贅沢は敵というお国柄ですから
仕方がないのかもしれませんが
健康性の観点からすれば問題があります。
さて、建築の仕事をしていると
年に何件か古い木造住宅、いわゆる古民家の再生の依頼を受けます。
こちらの住宅も築100年以上の茅葺きの民家
ほとんどの場合
このような古い民家(特に農家)は玉石の上に土台を乗せる
石場立て工法と呼ばれるものです。
そうです、石の上に家は乗ってるだけというのが
古来からの日本の家づくりです。
民家の場合はこの玉石が切石などに変わることもありますが基本はおなじです。
そうすると
何十年という時間の流れの中で
柱の立っている近辺の玉石は家の荷重で沈むことがあります。
地行と言って玉石は置いてあるだけでなく
事前に地面を突き固めて沈まないように仕事がしてありますが
それでも多くの場合土台が不陸を起こします。
すると建具の敷居が水平でなくなり
襖や障子がきちんと締まらなくなるといことになり
そろそろ家もガタが来た、
それに冬の寒さも我慢できないしということで
取り壊されるケースが大半です。
この家の広縁にはガラス戸が入ってます。
でもよく考えてみましょう
濃尾地震のあとですから当時の家では
まだガラスはそれほど普及していません。
建てた当時からしばらく、恐らく戦後10年ほどまでは
ここには障子が入っていたと思われます。
夜は雨戸を閉めて生活というのが普通だったことを考えると
隔世の感があります。
サッシやガラス戸は後世のもので
開口部は全て障子
冬でもです。(障子しかないのですから)
暖房は火鉢と囲炉裏程度ですから
よくよく我慢強い国民です。
サッシではなく
ガラス戸という家も今ではあまり見かけませんが
冬の寒さは相当なものです。
古い住宅を再生させるには
基礎をはじめとした耐震性の確保と
温熱環境の改善がとても大事です。
もちろんその家が持っている
風格も尊重しなければなりません。
壊して建てれば簡単で多くの人がそうしますが
古い家を残していきたいという人がいれば
何らかのお手伝いをしたいと思ってます。
この家も来月から工事がはじまり、
秋頃に完成予定です。
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