社長ブログケヤキの木の下で
2017年9月11日
美しい日本の再発見 拭き漆(うるし)
おはようございます、
紙太材木店の田原です。
週末はMOKスクールで大阪
森林文化アカデミーの辻先生の講義が二コマ、3.5時間
HAN環境・建築設計事務所の松田毅紀さんが100分
二人とも資料が膨大で猛烈なスピードで講義を進めていきますから復習が大変です。
辻先生は毎回宿題を出されますが
今回は無しということで一安心です。
さて、拭き漆
30年ほど前まで北陸地方では家を新築する際
板の間の床板や柱、敷居や鴨居といった木部に漆を塗っていました。
木目を美しく際立たせたり、保護する役目もあったようで
今でも北陸の古い家に行くと見られます。
拭き漆を施した家の室内イメージは
荏油で丁寧に磨き込まれ数十年という時を経た家と同じで、
通常の新築であれば数十年かけて荏油で磨き込まなければ見られない経年変化を建てたその時から既に持つことができるというものです。
輪島に代表される漆器
一客数万円もざらではありませんが
北陸地方ではそれを室内の木部にも使っていたんですね。
6月に今年は漆に縁があると言って
数十年ぶりに漆にかぶれてしまいましたが
その時にすでに拭き漆を取り入れることを考えていて
うちの小柳がMOKの三澤先生のところに行って習ってきました。
一度目の漆塗りをして拭きとったところ
漆を塗ってから一日乾燥させ、
二度目を塗る、また一日乾燥させ
三度目を塗る、また一日乾燥させ・・・
というのを好みの艶が出るまで続ける。
塗るほどに深みが増していくから不思議です。
かぶれには十二分に注意する必要があって
この季節に完全防護で汗だく状態
6月のかぶれでひどい経験をしたので漆でかぶれるのは二度とごめんです。
小柳もそこのところは口を酸っぱく言われたようで、
そこまでするの?というぐらい気を使います。
漆は食器に使われるくらい水に対して強い性質を持ちますから
水回りの木部に使われるケースが考えられます。
従来、荏油や蜜蝋ワックスだけでは耐水性が不足する場合
ウレタン塗装しかありませんでしたが
今後はこの拭き漆が考えられます。
昨年行った森林文化アカデミーの久津輪先生のご自宅では
脱衣室の床やハーフユニットバスの板壁に漆が塗られていました。
下の写真は一日乾燥させたあと、
二度目の漆をヘラで伸ばしているところ
まだ塗り跡が素人っぽいね・・
下塗りの色は今回は柿渋と弁柄で調色してあるので少し赤が入ってますが
弁柄だけや柿渋だけを使うなど好みで様々な色にすることができます。
この後、塗った漆を拭きとります。
漆は空気中の水蒸気から酸素を取り込んで乾きますから
温度と湿度の高い環境を準備する必要があります。
温度25~28度、湿度80%
食器などでしたら段ボールでもいいですが
カウンターや床材のように長さや量のあるものはそれなりの室(ムロ)を作る必要があって工夫が必要です。
ということで
今回の本荘中ノ町の家に続いて工事中の大野町の家では既に拭き漆を取り入れてますが
打合せ中の皆さんには順次拭き漆のご提案をさせていただきますのでお楽しみに。
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