社長ブログケヤキの木の下で
2017年10月2日
職人の技量習得には時間と機会が必要です。
おはようございます、
紙太材木店の田原です。
左官の手仕事に見とれるお子さん
先週の品野町の家に続き、今週は大野町の家の建前
ということで、今週も天気予報から目が離せません。
昨日はその建前で使う資材の簡単な加工をしていました。
今日から松田大工さんが本格的な加工をしますから
その下準備です。
昨今、建物の屋外の壁はサイディングが主流で
大手量産住宅ではそれがお約束になっています。
施工する職人の技量はそれほど必要としませんから
職人の確保が容易であるとか
工事期間もそれほど必要ありませんから
コスト的にも抑えることができます。
ただ、デザインをはじめとする様々な理由から
サイディングを使いたくない工務店は結構あって
そういうところはガルバリウムや板張り、あるいは塗り壁が主流です。
木材が建物の表面に現れる伝統的な日本建築では
木は水に弱いというイメージが一般の方に持たれていますが
高山の三町筋など歩いてみると
古い建物の多くに板壁が使われているのが分かります。
紙太材木店でもサイディングを使った新築住宅はありませんが
その一つの理由が伝統的な職人の育成です。
左官や大工と言った職人の技術は一人前になるための育成期間がとても長くなります。
その期間は一人前の仕事ができなくても
一人前の給料を支払はなければなりません。
一昔前は丁稚小僧は住み込みで三食あれば給料のことは問題ありませんでしたが
そんな話は40年も50年も前の話、現在では通用しません。
仕事の機会が無ければ技術を習得する時間も無いことになりますから
機会が無ければ3年で習得できる技術に4年5年とかかることになります。
しかもその間の給料は親方持ちというのが現状です。
工務店にできるのはその技術習得の機会をできるだけ持ってもらうこと
今はプレカットと言って工場で木材を加工するのが主流ですが
手仕事で木材の刻み(加工)をするところも各地に残っています。
木と木を繋ぐ技法は驚くほど多くありますし
その強度も様々な試験で確認されていますが
工場で加工するプレカットでは限られた繋ぎ方しかできません。
それを良しとしない大工さんや工務店が木材を手で刻んでいます。
紙太材木店でも今はプレカットですが
中期計画の中には構造材の手加工を計画しています。
デザインと性能、それに職人の手加工が
工務店の進むべき一つの方向と考えます。
高山や倉敷、馬籠といった古い町並みには多くの人が訪れますが
新興住宅地の綺麗なサイディングの町並みには誰も行きません。
建物の外壁に何を使うか、すこし考えてみる必要があります。
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