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社長ブログケヤキの木の下で

2015年10月2日

長期優良住宅化リフォームとアイシネン

おはようございます、
紙太材木店の田原です。
朝から日差しが出ていて
晴れのようです。
昨日1日だけの雨で助かりました。
さて、
以前のブログで今年の長期優良住宅化リフォームの予算が
昨年比3.2倍になったとお伝えしました。
3.2倍になってもそれだけ申請があるのかと
人ごとながら心配になってしまいます。
というのも
現実にリフォームをしてこの補助を受けるのには
かなり高いハードルを越えなければなりません。
特にS基準は現在の長期優良住宅と同程度の性能を持たせなければなりませんから
20年前の住宅ではかなりの手入れが必要です。
昨年、この制度を利用してS基準のリフォームをしたなかで
今後この制度を利用しようとする方の参考になることがありますので
ご紹介します。
本日も技術系のお話なので(^_^;)
一般の方にはつまらないかも・・m(_ _)m
発泡系断熱材
ウレタンやアイシネンといった断熱材を
壁や屋根面に吹き付けて断熱する手法があります。
長期優良住宅化リフォームでは
壁や天井、屋根といった断熱材が入るところには
防湿層の設置が必須ですが省略出来る場合があります。
それは室内側と室外側の透湿抵抗比が3以上ある場合
つまり室外側の抵抗が室内側の3分の1しかなければ
断熱材に入った水蒸気が外に逃げやすいから
防湿層は不要ですというもの。
水が高いところから低いところに流れるように
水蒸気の流れを止めるものがなくてスムーズに外に出ていくならOKというもの。
この長期優良リフォームを申請した家では
住まい手の方が以前のリフォームで屋根面にアイシネンを吹き付けていました。
調べてみると
アイシネンの透湿抵抗は0.73m2・h・mmHg/g
屋根裏の面に吹き付けてありますから
室内側はそれだけ
室外側は
構造用合板10.3
アスファルトフェルト4
石綿スレート2.44
合計16.74
0.73/16.74で0.043
これが3以上にならなければなりませんから
室外側の透湿抵抗がはるかに高いのでNG
これでは水蒸気が抜けていきません。
住宅用のプラスチック系防湿フィルムA種の
透湿抵抗は170
(170+0.73)/16.74で10.19
これでようやくOK
ともすれば
発泡系の断熱材ならどんなものでも
防湿フィルムは省略できそうと
思い込んでしまいますが透湿抵抗を確認することが必要です。
メーカーのHPのQ&Aには
計算上結露がなければ気密シートを省略できますとなってますが
屋根面に使う場合は野地は合板、その上にアスファルトフェルトですから無理でしょう
野地が1枚おきのザラ板、フェルトが杉皮ならOkかもしれません。
どうしてもこの製品を使いたい場合は
天井面に屋根裏側から吹き付ければ計算上はOK
ダウンライトがある場合は工夫が必要です。
壁に使う場合も外壁側に通気層があっても壁が構造用合板であれば
計算上はかなり困難
防湿層(気密シート)が必須になります。
発泡系に限らず断熱材は種類によって特性がありますから注意が必要で
このように家を建ててから後年、断熱や気密を強化しようとすると
かなりの工事、つまり費用が必要になってしまいます。
ですから国は200万もの補助をつけてくれるのですが
補助を受けるのには家全体をしなければなりません。
LDKだけとか1階だけと言うのは認められませんから
総額がいくらになるか
私も正確には見積もって見なければ見当がつきません。

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