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社長ブログケヤキの木の下で

2020年4月17日

古い材料を使った修復

​​​​​​​​​おはようございます、
紙太材木店の田原です。

紙太材木店の瓦の葺き替え工事も佳境です。
一番気になっていた店の前の軒裏を張り替えるのか、
現状のまま行くのか決断を迫られました。
なんとか今回の工事でも今のままでOKだろうと工事を始めたのですが
瓦を撤去してみて、やはりこれは交換と言うことになりました。
上の写真、連子格子の上のをご覧になると
板が取り除かれているのがわかります。
格子の前に立って、上を見上げると軒裏が見えますが
その軒裏に使ってある木が今回のテーマです。
それなりに傷んでいるのはわかっていたのですが、
瓦と葺いてある杉皮を撤去すると予想以上に傷んでいました。



一番上の写真を見ていただくと二階の屋根の竪樋が下りてきていますが、

ケヤキの葉が詰まってしばしばオーバーフロー。
滝のように瓦に直接水が当たっていましたから
予想はされてましたが、
住まい手としては何とかこのままであって欲しいという
淡い期待を持ってました。
と言うのも手を付け始めたらどこまでもとなってしまいますし、
材料も100年以上前に集められていますから、
今手に入れるには時間とお金がかかることが仕事柄分かっていたからです。
連子格子に立てかけてあるのは
軒裏の板を交換する場合の候補である杉の天井板で一枚の幅が33センチ
幅が足りませんし、板の厚みも9ミリほど
それにこの板を貼った場合、
他の板と色も異なることになるので塗装は必須、
紫外線の当たるところですから一度塗れば数年おきに再塗装することになりますから最終的には断念。
下の写真を見てください。



現在の板の幅は35センチですが

これは乾燥して幅が狭くなったためで
建築当初は36センチですから尺2寸の幅の板です。
木は乾燥すると横方向に約3%収縮しますから
ある意味、教科書通りの乾燥収縮
メジャーを当てている板は左側の釘はそのままで
右側の止めていた釘のところが収縮で全て裂けています。


当時もある程度乾燥した材料を使ったと思われますが

現在のような乾燥技術はありませんでしたから、
100年を越えていれば自然な成り行きです。
もう少し手間をかけるとすれば
乾燥収取を見越して受け材の垂木の幅を広くしておくとか、

固定するのはどちらか片側だけという選択もありました。
紙太材木店では外部に杉板を貼る場合、
このような乾燥収縮を考えて固定しています。
つまり、板の固定は乾燥収縮しても割れない固定方法が必要です。
さて、
使ってある板は松で15ミリから20ミリほどの厚さ、
幅は36センチです。
こんな材料は特注ですし、手に入れるには時間もかかります。



昔の踏み天井の板はほとんどが厚みのある松です。
踏み天井と言うのは2階の床がそのまま一階の天井になるものを言います。
地場の工務店では
古い家をリノベーションしたり、
再生させる時にはこのような材料がでますから、
産廃として処分せず何かの時のためにストックしておきます。
今回はストックの中から再利用することに…。


上の写真は洗って乾かしているところです。
これらの材料を使い幅の広い板を作ります。
幅の足りないところは幅接ぎと言ってつなぎ合わせます。



古材ですから使用している板自体も既に100年以上経過したもので、

収縮を考える必要はありません。
色も塗ったのではなくそのままのものです。


あまり、綺麗に映ってませんが張り替えた後です。
張り替えたとは恐らく言われなければわからないと思います。
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