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社長ブログケヤキの木の下で

2017年6月5日

パティナ 時を経た風合いを得るための実践

おはようございます、
紙太材木店の田原です。
今朝は少し冷え込んだ美濃地方
気温は12.5度で指先が冷たく感じます。
衣替えして半袖なので少し寒いというのが実感でしょうか。

前回、時を経た風合いについて書きましたが、
何もしなくてもその風合いが出る場合と
少しだけ、お手入れが必要な場合があります。
住宅の場合、特に室内ではお手入れをするケースが大半です。
それはどこかというと木部
主に床と建具です。
(もちろん柱や敷居、鴨居、枠も含みますが最近の家ではレアケース)
床については合板のフローリングでワックス不要というのが最近は人気ですが
好みは人それぞれ、このブログをお読みの方はおそらく合板フローリング好きの方は少数でしょう。
無垢の木を使って仕上げもそのままという場合、お手入れが必要です。
床については皆さんご存知だと思いますが
本日は建具について。
時を経た風合いを作るには少しだけ努力が必要で
その作業を楽しんでいただける方、
あるいはその風合いを自分達の手で作り出していきたい方は必見かもしれません。
冒頭ご紹介した写真は葦戸(よしど)
30年ほど前に近所の家が取り壊されるということで譲って頂いたもの。
昔の和室の建具は高さ寸法が5尺8寸と決まっていたのでこんなことができるんですね。
製作されてから100年ほど経ってますが
おそらく今まで一度も手入れがしてなかったので艶もなく色あせた状態でした。
(いつでもできると思うと・・紺屋の白袴状態)
以前から気になっていたので一念発起でした次第。
二本並べて見ると手入れをする前と後がよくわかります。

お手入れの最中の写真はもっとわかります。

何をしたかというと
荏油で拭いただけ。
ただ葦の一本一本は5ミリほどの細さで円形なので
表面を荏油のついた布で拭いただけでは
丸くなった両サイドはそのままになってしまいます。
それに力を入れて拭くわけにはいきませんから
繊細さと丁寧さも求められます。
ということで葦一本一本の隙間はこれですることになったので
建具1本、裏表を手入れするのに2時間もかかってしまいました。

ここまで、色あせてると手入れに相当時間がかかりますが
こんなに時間がかかったのは100年も何もしてなかったから。
100年何もしてなくてもちゃんと蘇るというのは
それはそれでたいしたもので
無垢の材料の持つ魅力でしょう。
これから10年ほどは普段のお手入れははたきぐらいでしょうか。
この葦戸、紙太材木店の新築でも使うことを検討中ですがもうすこし現代風にアレンジする予定なので今しばらくお待ちください。

ついでに床と敷居も拭きました。
床板は桧、建築当初は白木です。

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