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社長ブログケヤキの木の下で

2010年6月3日

松田大工さんの仕事

おはようございます、
紙太材木店の田原です。
川辺町のO様邸
造作工事が徐々に進んでいます、
といっても普通の家の
造作工事の様には進んでいきませんので、
知らない人が見に来たら
一月前とそんなに変ってないな~
どこを工事したんだろうなどと思うかもしれません。
内部はまだこんな具合ですからそう思われても
仕方がありませんね。
二階の天井と壁の境に入れる
廻縁(まわりぶち)が取り付けられています。
6.2.2010no2 034.jpg
廻縁の入隅(いりずみ)の所を
もう少しアップしてみましょう
6.2.2010 005.jpg
下から見上げた時
廻縁同士がぶつかる入隅のところは
きちんとくっついていなければなりません、
しかも「留め」と言って
斜め45度の角度でぶつかりあうように
固定する必要があります。
さて、松田大工さんが
どんな風に廻縁に細工をして固定しているか
見てみましょう。
6.2.2010 011.jpg
これは下から見た入隅部分の写真で
縦になっている木が柱です
まだ荒壁のままですから
柱に縦にチリじゃくりの溝があります
大工さんの造作工事が終わると
左官屋さんがこの溝が見えなくなるまで
中塗り、仕上げ塗りをしていきます。
左から廻縁が来ていますが
まだ、右側の廻縁は取り付いていません
上から見てみましょう
6.2.2010no2 015.jpg
下から見ると
斜め45度の「留め」のように見えますが
正面からみると
入隅は一本の筋にしか見えなくなります。
45度の角度で二本を切ってくっつけてはありません。
わざわざこのような手の込んだ細工をするのには
理由があります。
先ず、全て斜め45度に切ってしまい
お互いくっつけたとすると
よほど正確に両面をまっすぐに
角度を決めて切らなければ
面としてぴったりくっ付きません
くっ付かなければ
下から、あるいは正面から見たとき
くっ付いた面に
隙間があるように見えてしまいます。
二つの廻縁を
ぴったりとくっ付いているように見せるには、
くっ付いている面積が少なければ
それだけ隙間が出来る可能性が低くなります。
また時間の経過とともに廻縁が乾燥して
ねじれた場合も隙間があいてしまいます。
上の写真の廻縁に縦に入っている溝にはいくつかの
役割があります。
先ず先ほどのお互いくっついている面積を
少なくする事。
もう一つは廻縁が
乾燥してねじれることを防ぐこと。
この溝にもう片方の廻縁が差し込まれますから
ねじろうとしてもねじれることができません。
さらに木は乾燥すると
収縮します。
縦方向に比べ横方向は
木に含まれる水の割合である
含水率が15%でも収縮しますから
2~3%の収縮と考えると
3センチの幅の廻縁は約1ミリ収縮します。
1ミリ収縮すれば隙間としてはかなりわかります。
でも、溝があると
その幅分の収縮になりますから
7.5ミリの溝幅の3%で0.2ミリ強
収縮して隙間が出来ても
ほとんどわかりません。
さて、きちんと二つの廻縁が
納まった姿を見てみましょう
6.2.2010no2 022.jpg
下から見ただけでは
松田大工さんがどんな仕事をしているか
決して分かりませんが
見えないところにどれだけ手間をかけるかで
3年後、10年後、50年後の姿には
天と地ほどの違いがでてきます。
この家は百年、十分に持ちますので
仕事もそのような細工になります。
効率だけを追い求めれば、
坪単価だけで比較するなら
45度にスパッと切ってくっ付けるのが正解ですが、
そのような世界とは少し違う世界です。
とはいうものの、坪単価は
〇水ハウスや〇友林業と変わりません。
住宅に求める価値は人それぞれ違いますが
こんな世界があることも
知っていただければ幸いです。
この川辺町の荒壁の家の
造作工事、荒壁見学会を6月に開催しますので
ご興味のある方はものさし塾でお申込み下さい。
それでは
皆さん、また明日。

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