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社長ブログケヤキの木の下で

2014年1月24日

日本にとって最低限の断熱性  近大 岩前教授

おはようございます、
紙太材木店の田原です。
建築技術という専門家向けの雑誌があります。
1月号は
「改正省エネ基準を楽しく理解しよう」
南雄三さんや前真之さん、岩前篤さんといった方々が
寄稿されてますが
私自身も興味を持ったところで
普通の人が読んで楽しく理解できるところを
少しご紹介しましょう、
でも、普通に読んで楽しく理解出来る人は設計者でも恐らく稀、
頭に汗をかきつつ調べまくりのテキストですから(^^♪
近畿大学の教授の岩前先生
「日本にとって最低限の断熱性とは」
今回改正された省エネ基準
岩前先生は批判的です。
先生は日本の住まいにおける
健康の変化に関する大規模な調査ををされていて
温度と健康に関する研究を数多くされています。
(2003年~2008年の期間を中心に新築の戸建住宅に転居した2万4千人を調査)
いわば日本の住宅と健康に関する
疫学的な調査といったもので
著書や研究事例を読むと日本の住まいの実態というものがよくわかります。

「今回の改正は住宅省エネ化に伴って良質の住宅を増やそうとしてきた
過去30年の歩みとの決別であり、省エネだけが目的となった。
今後しばらくは省エネ住宅の方向性と
良質な住まいの方向性は異なるものとなるであろう」

今回の改正は、
省エネの省エネによる省エネのための改正で、
このような省エネな住宅は健康的な住まいとは言えないというわけです。
良質な住まいは、まず健康的でなければならない。
この数年、各所で示してきたように、
この社会の一般的な住まいは健康的ではない。
差別化に限界を来たした1980年代の住宅産業が
「快適」をキャッチフレーズにしたころから
健康の追求がおろそかになってしまったように思う。

住まいの高断熱化の健康改善効果をもっと大切に考えるべきである。
改正省エネ基準に合致する住まいを、今、建てると
今後50年、100年存在し続ける(少なくともそれを企図している)
30年で壊された時代よりも、その影響は大きくなっている。
エネルギー性能は満たしても健康性が不十分な住まいが
将来、負の遺産になることが確実な住居が
建て続けられている現状を深く嘆いている。

つまり
高い断熱性が健康に直結していることを
言われているわけですが
先程も言ったように
先生は温度と健康に関する調査を
非常に大規模にされていて
そのビッグデータをお持ちの方
何万人もの調査をされてそのデータでお話をされますから
科学的な根拠のある論文になります。
ニュージーランドでは
先生より遥かに大規模な調査をしているグループもあり
住まいの温度と健康には密接な関係があることがわかっています。
さて、
難しい話は省略して
結論から言うと
岩前先生が提唱する日本で健康に暮らせる最低限の断熱性とは
美濃地方を含む温暖な4、5地域でも
Q値は1.9から1.6
場合によっては1.3以下が望ましい

これくらいの住宅で
最低限な断熱性と健康性が確保できます。
これはいま建築中の建物のほぼ倍の断熱性
つまりそれほど日本の基準自体が緩いということになります。
先生の締めの言葉
今、改正基準レベルの住宅を新築すると、
健康性の観点では不十分な住宅が
50年、100年残ることになる。
できるだけ多くのQ値1台の住宅を作るべきである。

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