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社長ブログケヤキの木の下で

2020年4月24日

杉皮と土で瓦を葺く


赤身ががったものが補修した杉皮
おはようございます、
紙太材木店の田原です。
今朝は快晴、3.6度の美濃地方です。
紙太材木店の瓦の葺き替え工事が始まって既に20日ほど経ちますが、
天候や傷んだところの補修などで工事はまだ半分も済んでいません。
今回の瓦の葺き替え工事
古い瓦を撤去して新しい瓦に葺き替えるわけですが、
古い民家の瓦を葺き替える場合の注意事項の一つは
瓦の下に敷かれるルーフィングです。
それは現代の住宅にも共通していることなのですが
室内で発生する水蒸気が屋根裏に到達した時、
結露させない工夫が必要であるということです。
古い住宅(無断熱の家)であれば古い住宅にあった方法が求められますし、
現代の住宅であればいくつかの対策が求められます。
古い住宅(無断熱)でも、
家の中は現代の生活スタイルですから

水蒸気は普通の家と同じように発生します。
となると、この水蒸気を適切に逃がす必要があります。
小屋裏に関して言えば先ず小屋裏の換気。
それと屋根に敷き込むルーフィングを透湿性のあるものにし、
小屋裏の屋根面に結露が生じないようにする必要があります。
本来であれば現代の住宅と同じように
断熱材を入れ、気密シートを貼り、
水蒸気の移動を止めることが必要です。
古い民家の場合、建物の持つ意匠性や費用の面から等
それができないケースも多くあります。
今回の瓦の葺き替え工事では、
透湿性のあるルーフィングを使用する方法と
既存のやり方である、杉皮を使用する方法の
二つの選択がありました。
最終的には従来通りの杉皮を選択しました。
その理由は
瓦を撤去した時の既存の杉皮の状態が100年以上経過していても
良かったことです。

そのことから傷んだ部分だけの補修で済み、
コストを抑えることができました。

もう一つの大きな理由は
透湿性ルーフィングの耐久性がまだ不確かに感じたことです。
カタログには耐用年数は50~60年と出ていますが…

今でも使われているアスファルトルーフィングで30年ほど
透湿性ルーフィングが発売されてからの期間がまだ短いですから、
時間の審判を受けていません。
工業製品である建材の中には
発売した時の国の規格は合格していても、
現在の規格で試験すると不合格と言うのも実は多々あります。
もちろん、透湿性ルーフィングがそれだと言っているわけではありません。
ただ、自分の目で見て杉皮の対候性、耐久性が優れていることが
確認できたからという理由からです。

このようなことから杉皮に土葺きとして瓦の葺き替えをしましたが、
瓦自体は桟に釘で固定する方式で
大屋根から下りてくる竪樋の周辺はオーバーフローした際の対策で
一部ルーフィングを2重に貼りました。
工事は左官や板金なども含めると恐らくまだひと月以上かかります。
古い住宅の場合、水蒸気の事などを考えると
必ずしも最新の工法がいいというわけではありません。
その家の状況に合わせ
どんな工法、方式、材料が最適か検討する必要があります。


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