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社長ブログケヤキの木の下で

2018年2月2日

古い民家の再生調査

おはようございます、
紙太材木店の田原です。

先日、古い商家の調査に行ってきました。
昭和3年ですから今から90年ほど前に紙太材木店が建てた家です。
もちろん、断熱材などひとかけらも入っていませんから
スリッパを履いていても各部屋を調査していると
くるぶしから先の感覚が無くなっていきます。
現代の生活に合わせて水回りなど適宜改修してありますが
基本構造は90年前のもので、玉石の上に土台が敷いてあり
その上に柱が建っている石場建ての住まいです。
母屋の周りは増築したキッチンや水回り、
仕事で使用している倉庫や蔵、納屋などもあり
建物の配置の確認だけでもかなり時間を要しました。
公図と実際の敷地形状が異なるところもあり
敷地境界も一般的には境界杭ですが、
この角の玉石とあの玉石といった具合です。

この家を再生、
つまり以前の面影や構造を残しながら
現代の新築並みの性能にするのが住まい手のご要望です。
再生を行う過程では様々な要素を検討する必要があります。
過去のケースでは​折立の家​や​春明の家​は共に減築をしています。
これは建物があまりに大き過ぎる場合
全体の予算で賄えなくなることと
実際の生活ではそれほど大きな家は必要が無いことによるものです。
又、過去の改装や増築を繰り返してきた、
ある意味その場しのぎの対応を一旦ご破算にする必要があるからです。
もちろん、建物が本来持っているデザインや意匠はできるだけ残す工夫が求められます。
今回の調査、再生計画は緒に就いたばかりですが、
できるだけ木造の古い建物を残していきたいと思っています。
馬籠や古川、高山といった古い建物のある街並みには多くの人が訪れますが新興の住宅地にはいくら立派な建物が建っていても人が行くことはありませんし、いくらお金を出しても古さを買うことはできません。
昨年の夏、我が家にオランダから来ていた留学生が、古いものにこそ価値があり、伝統的なものや長く大事にされてきたものでなければあまり興味はないと言っていました。
紙太材木店も、長く大事にされる家を造っていきたいですし、
長く大事にされてきた建物を次の世代に引き継ぐ手伝いもしていきたいと思っています。
90年前、紙太材木店が祖父の代の時に建てた家の再生に携わることができるのはこの上ない喜びです。

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