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社長ブログケヤキの木の下で

2023年3月29日

板張り100年


おはようございます、
紙太材木店の田原です。
今朝は6度の川辺町、
まだ寒いので事務所では
朝だけ薪ストーブを使ってます。
先日開いた庭のワークショップ。
駐車場の関係で庭の大きさは、
それほど広くありません。
南面に道路と庭の配置ですから
道路側のブロックの上には
これから木塀がつきます。
正面から建物の全景がそのまま見えるのは、
工事中の今だけと言うことになります。
ご覧のように
建物の外壁は東西南北、杉板張りです。
実はお隣に今タマホームが建築中で
足場には真っ赤な看板シートが掲げられていて、
見る方向によっては
こちらの家がタマホーム?に見えてしまいます。
そのタマホームの外壁は木目調のサイディング。
つまり、
これから長期に渡って二つの建物の
外壁のメンテナンスの比較ができることになります。
結果は言うまでもありません。
杉板の場合日本各地で、
昔から外壁材として使われてきました。
使われてきた板は
二分三(にぶさん)と言って
厚みは二分三厘なので7ミリです。


二分三の外壁の杉板
そう、7ミリなんですね。
漆喰や土壁に雨が当たらない程度で、
最も安くコスパの良い材として
杉板が使われてきました。
住宅医の研修では
木造建築病理学に基づいた授業がありますが
杉板の風化速度は20年で1ミリと習います。
現在、各地の工務店で
外壁材として使われる杉板の厚みは15ミリ。
二分三の板の方が早く乾んじゃないかと
言う議論もありますが、

風化速度を考えると
それなりの厚みの方が耐久性はありそうです。

この戸箱の板は厚みは9ミリほど
大正2年(1913年)の建物ですから
110年ほど前のもの。
軒が出ていますが、
風雨が強ければ当然濡れますが
まだしばらくは使えそうです。
北総研が杉板張りの外壁を
準防火地域で使えるような認定を取得して
一般に公開しています。
火に弱い、雨に弱いという先入観が
普通にありますが、
サイディングだけが選択肢ではありません。
30代で家を建てた時、
50年住むとすると
外壁のメンテナンスはできるだけ
少なくしたいものです。
杉板なら廃盤なんてことはありませんし、
日本中どこでも入手可能です。
上の写真の戸箱は110年を経たもの。
70年80年と次の世代まで使えれば、
もっと経済的にはお得になります。
もっともっと広がってもいいはずだけど
まだまだ、
サイディング信仰があるのかもしれません。

時を経た風合いと言う意味のラテン語があります。
パティナと言いますが、
ラテン語は2000年前の古代ローマの言葉。
2000年前でも時を経た風合いを愛でる感性が
あったわけで、

杉板の外壁もほかっておけば
時を経た風合いが出ます。
後はそれを愛でる感性さえ養えばOKです。

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