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社長ブログケヤキの木の下で

2021年10月11日

昔の写真で

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おはようございます、
紙太材木店の田原です。
先日、スマホに突然現れた写真。
10年前の写真ですと言われても突然だったので、
何所へ行った時なのか思い出せず…

どこの和風建築だったのかと思わず思案してしまいましたが、
自分の建てたお住まいでした。
当時既に、断熱や気密、換気などにこだわった家を建ててましたが、
田舎ではまだ家は荒壁(土)を塗って仕上げるもの
という考え方も多くあり、この家もその一つ。
このブログの読者の多くは性能に関心があり
同時にデザインについても意識されている方ですが、
古くからの日本の建築文化についても関心のある方が
少数ですがみえます。
ということで
本日は土壁。

上の写真はこの家の荒壁を塗っている時のものです。
柱と柱は、力貫という横に渡した木でつながっています。
この横に渡した木は耐震要素で
重要な役割を果たします。
この力貫に竹を編んで固定し、そこに荒壁を塗ってい行きます。
一昔前の住宅の耐震診断に行くと、
この荒壁が柱で支えている桁まで届いていない家が大半です。
実は部屋の中の天井の高さは
土を塗っている職人さんの右手のあたりまでしかありません。
それより上は天井裏になって見えないわけで、
塗る必要が無いと…
土を塗らないから竹も編む必要がないとなります。
この土も竹の両面から塗ってあるケースと、
片側だけしか塗っていないケースがあります。
塗った荒壁を反対側から見るとこんな具合。



やわらかい土ですから

竹と竹の隙間から押し出されています。
このまま土が固まると随分凹凸のある面になります。
凹凸があると、その上から土塗っても隙間や空洞ができる可能性が高くなります。
つまり、表面的に土が塗ってあるように見えても
中はスカスカ状態。
なんだか、いい加減な断熱材入れのような話ですね。
ということで反対側の土が固まる前に、
デベソのように出ていた土を竹に撫でつけます。
これで土は竹により密着した状態になりました。


さて、
濡れた土を塗るわけですから
乾燥するまで2.3か月。
長い時は半年、1年放置なんてことも昔はあったとか
乾燥すれば
当然収縮することになります。



紙が巻いてある柱と土壁の間に

指が入るくらいの隙間があります。
昔の家ではよくあるケースですね。
この荒壁、
もちろんこれで仕上げではありません。
実はこの上にまた土を塗ります。
土を塗っても乾燥すれば収縮し隙間ができますから
その対策が必要です。


柱の横に溝が掘ってあります。
荒壁はその手前まで塗ってある状態。
荒壁の上に土を重ねて塗るのですが
その土は溝の中に入るようになっていて、
収縮しても光や風がはいらないような工夫がしてあります。
写真を見ると分かりますが
溝が隠れるまでにはまだ1センチほど土を塗っていかないと、
溝が隠れません。
写真は家の外の壁ですが家の中も同じです。
なんだか
とっても長くなってしまいました。
中塗りや仕上げのお話は次回ということで。
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