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社長ブログケヤキの木の下で

日本のサッシの特徴とメンテナンスコスト

 

 

  • おはようございます、紙太材木店の田原です。
    今朝は13度ほど。
    10度を下回る日がいつになるかですが、
    そんなに遠くは無いようです。

 

  • 本日はサッシの話し。
    日本のサッシと欧米のサッシの違いですが、
    木製とか樹脂とかガラスとか色々あります。
    取り付け方も違います。
    サッシ本体につばが付いているかいないかです。
    建物の外壁面にサッシを取り付けるのに
    つばが付いていると取りつけやすいんですね。
    防水上もそのつばの上から防水テープを張るというのが、
  • 教科書になっています。
    そしてサッシを取り付けてから
    外壁のガルバリウムを張ったり
    モルタルを塗ったり
    タイルを張って仕上げます。
    風雨が強ければ雨が壁面にもあたりますから、
    サッシと仕上げ材の隙間から水が入って
    雨漏れしては困りますから、
    つばにテープを張って仕上げるのですが・・・

 

  • 欧米のサッシには、そのつばがありません。
    雨が降らない訳ではありませんから
    つばが無いのには理由があります。
    日本人の感覚では
    サッシは一度取り付ければ一生もので、
    交換なんてつゆほども思わないという感覚ですが、
    彼らは違います。
    家なんて100年持つのが当たり前。
    だからその間に、サッシは必ず交換する。
    だから交換しやすいように取り付ける、です。

 

  • 日本の家は戦後30年程度で
    建て替えられてきたので、
    サッシを交換する必要がありませんでした。
    なので、サッシを交換するなんて
    思いもしない考えなんですね。
    でも100年住むとなると、
    設計思想そのものが違うことになります。
    つばがあると
    サッシを交換する時にサッシの周りの外壁を
    剥がさなければなりません。
    ガルバリウムであれ
    塗り壁であれ
    何であれ
    剥がして交換となりますが、
    その外壁の修理となると足場が必要とか
    20年以上経過していれば
    同じ模様や形のものが無いなど
    不都合が出てきますし、費用も割高になります。
    でも、つばが無ければ
    工夫すれば外壁を傷めることはありません。

 

  • 日本で作られる木製サッシなどにはつばがありませんが、
    日本ではアルミサッシだけでなく
    樹脂サッシには全てつばがあります。
    どのサッシメーカーのものでも、全てつばありです。
    なので30年後、40年後の交換時期には
    足場を含め、それなりのメンテナンスコストが
    かかることになります。
    さてそんな中で、たとえつばがあっても
    外壁が簡単に剥がせたり
    誰もが容易に修理できれば
    その補修費用は安く済みます。
    それは簡単で杉板を張ること。
    ビスで止めてありますから簡単に取り外しできます。
    杉材なら30年後、40年後でも
    日本全国どこでも安価に容易に手に入りますし、
    40年程度であれば
    剥がした杉板はそのまま使えるでしょう。
    最近流行りのガルバリウムでは
    そうはいきません。
    サッシの交換と言うのは
    従来の日本人が持っていない考えです。

 

  • 家の寿命は30年ほど前の日本の家に比べ、
    格段に伸びています。
    いくら性能が高くでも、
    50年.60年と言う長期に渡る
    メンテナンス費用が高額になるような家では
    残念としか言えません。
    服や靴のように身に着けるものであれば
    流行やその時の好みで選んでも
    問題はありませんが、
    それすら年齢、年代によって変わっていきます。
    住まいの外観にも
    流行りと言うものがありますし、
    SNSでは素敵と感じる家の写真は溢れています。
    住まいの外観デザインは大切ですが、

    ファッションではありません。
    30代で家を建てれば、50年住むことになります。
    一時の素敵が
    50年間にどれだけのメンテナンスコストが必要か
    考える必要があります。

 

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南面のガラスが大事

 

 

  • おはようございます、紙太材木店の田原です。
    漸くケヤキの葉が色づき、落ち葉となり始めました。
    これから毎日落ち葉そうじが始まります。
  • 昨日の美濃地方は30度
    週末の土曜日を過ぎると、一挙に寒くなるとか
    ようやく秋が来たでしょうか。
    寒くなればなったで、日差しが恋しくなるわけです。

 

  • サッシのガラスは大きく分けて二種類あります。
  • 日射取得型のガラスと
    日射遮蔽型のガラス
    日射熱取得率が違うんですね。
    日射熱取得率なんて言うと???ですが
    簡単に言うと
    ガラスを透過して入ってくる日射の熱がどれだけあるか?

 

  • 遮蔽型のガラスだと
    日射の熱が入ってくるのをカットします。
    取得率32%のガラスであれば
    68%の熱をカットすることを意味します。
    取得型のガラスだと
    日射の熱ができるだけ入ってくるように
    取得率が高くなっています。
    取得率58%のガラスだと
    取得率32%のガラスに比べ、
    約1.8倍の日射の熱が入ってきます。
    細かい計算は省きますが
    一般の方にも知っておいて頂たいのは、
    ガラスの選び方次第で冬の室内の暖かさが異なること。
    特に日射の豊富な太平洋側に住んでいる方は、
    お金をかけずに
    住まいの暖房が出来ることになります。

 

  • でも以前の家では南面に縁側があって
    日差しが当たるところはそれなりに暖かいけど、
    日差しがあたってなければ
    そんなに暖かいなんて実感がない・・・
    多くの方の実感だと思いますが、
    それはその家の断熱材が不足していたから。
    ソーラーパワーメーターとか日射熱計で計ると
    1m2当たり何KWの熱が入っているか計測できます。
    例えば日射熱を計測して
    0.7kw/m2であれば
    0.7kw/m2x5m2(南面の窓の面積)x0.58(日射熱取得率)
    計算すると2.03kwになります。
    これって、6畳用の2.2kwのエアコンで
    暖房してるのとほぼ同じなんですね。
    断熱性能等級4程度の家(Ua値0.87)では
    まだ全然寒いと感じますが、
    等級が6(同0.46)を越えてくると
    30坪程度の家であれば暖かさを実感できます。
    0.46w/m2・Kx250m2(外皮)x20度(温度差)
    計算すると2.3kw
    つまり日射だけで
    その家で必要な熱量(暖房負荷)の88%を補うことができます。

 

  • 室内と外気の温度差を20度としましたが、
    太平洋側で日射が豊富な地域で
    日中日差しがあれば外気は10度程度でしょう。
    そうなると温度差は10度
    必要な熱量は1.15kw
    つまり、昼間は無暖房でも過ごせます。
    (暑くて窓を少し開けてる)

 

  • どんなガラスを選択するか
    断熱性をどれだけにするかで、
    冬の過ごし方が変わってきます。
    一昔前は冬は炬燵から出たくないでしたが
    きちんと設計された住まいでは
    冬は家から出たくない、です。

 

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心地よい空間とは(3)

 

 

  • おはようございます、紙太材木店の田原です。
    なんだか怪しい雲行きの美濃地方
    まだ雨は降っていませんが、時間の問題の様です。

 

  • 8月から復活した電気やガスの補助金は
    10月で終了しますが
    またまた、与党は
    補助金の延長を検討中とか(与党だけではないようですが)
    これはある意味、建築業者や住宅業界を甘やかす構図です。
    過去何十年にもわたって繰り返され、
    結果は
    性能の低い家の蔓延と
    性能の高い家の駆逐。
    多少性能が低くてもお値打ちで、お安くなります。
    断熱性能等級4は国が定めた基準で
    一昨年まで最高等級でした。
    暖房や冷房すれば
    十分暖かく、涼しい家になりますから
    心配はいりません。
    こんな具合に耳元で囁かれれば
    ソレモソウダネ
    (2030年までに等級4は既存不適格
    等級5が最低基準になります)
    この構図をいつの時代に断ち切れるのか?
    家余りの時代に
    将来更に余る家を建てることのだけは避けたいですね。

 

  • さて、心地よさとか居心地のよさを感じる
    空間や場所と言うのは、
    写真でお伝えすることはなかなかできません。
    多くの設計者が名建築と言われる建物を訪問するのは、
    実際自分で行ってみて
    その建物の心地よさや居心地を
    自分で体感するためです。
    なぜ、そう感じるのかを自分なりに解釈したり推測し、
    その解と思われるものを
    自分の設計の中に取り入れるためです。
    一般のこれから住宅を建てようとする方も
    新築を建てた友人の家に行った時、
    居心地のいい空間や場所を探してみてください。
    場所と言うのはダイニングの
    この椅子に座った時とか、
    リビングのこのソファーとか
    ピンポイントの場合もあります。
    そしてなぜそこが居心地がいいのか
    その空間を心地よいと感じるのか
    自分なりに考えてみる。
    そこには、いろいろな要素があります。
    部屋の広さ、高さ、明るさ、窓の大きさ
    窓の位置や種類、壁の位置、壁の高さ
    照明の明るさ、配置
    外の見える景色、植栽
    家具、椅子の座り心地
    床の色、どんな床か、
    壁の仕上げ材、
    天井の高さや勾配、吹抜け
    etc
    数えればきりがありませんが
    自分なりの解釈をしてみる
    自分がこの空間に
    居心地の良さを感じるのは多分こうだからなんだな。
    完成見学会のようにその場に設計者がいれば
    心地よさについて聞いてみてもいいでしょう。
    感性のある設計者なら待ったましたとばかり、
    あれこれ説明してくれると思います。
    もちろん、全くそんなことには
    頓着しない設計者もいますから
    人を見て聞くしかありません。
    間取りや生活動線も大事ですが
    更にその先には、
    居心地のいい場所や
    心地よさというものがあります。

 

  • ネットやYou TubeなどのSNS
    雑誌などでも分かりません。
    実際にそこに行くしかありませんが
    そこがどこか?
    聴竹居をはじめ
    一般公開されている建物は数多くあります。
    故きを温ねて新しきを知るではありませんが、
    大抵のことは既に昔の人が考えていますから
    住宅展示場に行く前に
    名建築と言われる建物を
    訪問しても損はありません。
    実は今月末にKKBの仲間と俵屋に泊まります。
    前後に工事中の妙心寺の庫裏や
    横内敏人事務所etc訪問予定
    聴竹居は予約が間に合わず断念。
    どんなんだったか、また報告しますね。

 

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心地よい空間とは (2)

 

 

  • こんばんは紙太材木店の田原です。
    更新が遅くなって、こんな時間になりました m(__)m
    午前中はリフォームの打合せ
    午後は?
    障子の張替え(^^♪
    以前、定期点検にお伺いしたのですが
    換気装置の排気の確認をした時、
    狭い所だったので体がふらついた時
    うっかり、障子に手をついて破ってしまったんですね。
    その補修に岐阜市内の大福町の家に行ってきました。
    今日は岐阜に天皇陛下が来られる日。
    お巡りさんはいっぱいいますし
    交通規制もそれなりに。
    国旗を持ってお迎えする一般の人も沿道に溢れていました。
    迂回、迂回をしながら
    何とか張替えを済ませてきました。
    障子の張替え
    You Tubeなどにも出てますが、
    誰でも簡単にできますから
    是非一度トライしてみてください。
    トライなんて言うとハードルが高く聞こえますが、
    鼻歌交じりで誰でもできます。
  • (剥離剤で簡単に剥がせます)

 

  • さて、心地よい空間
    設計サイドの話です。
    閉じられた空間では安心できない。
    閉じられた空間とは
    見通しが出来ない空間を言います。
    つまり、周辺の状況が分からない空間では
    人は安心できません。
    敵が、捕食者が
    あるいは自分や家族に
    危害を加えるものが近づいてきても
    分からないからです。
    いち早く危険に気づくことで、
    自身の身の安全を確保できるわけです。
    ある意味、それは本能的なものです。
    人が安心、安全を感じるには
    見晴らし
    見通しが必須です。
    心地よさの前提として
    安全安心を確保するための
    見晴らし、見通しという
    本能に起因する状況が必要になります。

 

  • 京都や各地の古刹、
    あるいは屋敷と呼ばれる
    各地の古くからの建物は庭に囲まれています。
    各部屋は壁ではなく建具で仕切られ、
    建具を開ければ建物の四方に庭があり
    周囲の状況が見て取れることになります。
    敵が、不審者が
    いるのかいないのか
    庭の砂利に波を打たせておけば
    誰かがそこを通れば必ず跡が残ります。
    本能的な安心を確保しつつ、
    そこに枯山水などの芸術的な要素を入れ
    住まい手の目を楽しませる。
    もちろん現代の街中の住宅のように
    東西南
    あるいは
    東西北を
    隣家に囲まれた住まいも数多くありますし、
    狭小地では
    四方を囲まれた住まいもそれなりにあります。

 

  • さて、設計者がそんな状況の中で
    どんな心地い空間を
    あなたのために用意してくれているのか?
    ともすれば一般の方は間取り優先、
    生活動線優先になり勝ちですが
    心地よさの本質はそこにはありません。
    言うまでもありませんが、
    Ua値や断熱性能等級は
    心地よさの一つの手段でしかありません。

 

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心地よい空間とは

 

 

  • おはようございます、紙太材木店の田原です。
    先日の新住協の総会で話しを聞いたり見たり、
    いろんな人の意見を聞くと
    いろいろ思うことがあります。
    帰りの新幹線の中で浮かんだ考えを
    忘備録的に書きます。

 

  • 人はなぜ、家を建てるのか?
    安全安心を求めてとか
    人それぞれと言ってしまえばそれまでですが
    その目的は何か?と
    何度も突き詰めていくと
    最後には、
    心地よい空間を求めてと・・・
    住まいにおける心地よい空間は大きく分けると
    住まい手サイドで
    作り上げるもの
    設計サイドで
    作り上げるもの
    それに
    周辺環境によるもの
    この三つが主な構成要素です。

 

  • 断熱や気密
    換気や冷暖房装置などは
    心地よい空間を作るための設計者側の手段、
    あるいは責任といえるでしょう。
    もちろん間取りなどの設計プランや
    選択された素材
    例えば
    床壁天井の材料、ドアなどの建具も
    設計者サイドで作り上げるものになります。
    更に周辺環境は変えられませんが
    利用することはできますから、
    心地よい空間を作るために
    いかにそれを設計に取り入れられるか

 

  • さて、住まい手サイドが作る心地よい空間とは
    お気に入りの家具、椅子やテーブル
    花や植栽
    ちょっとした小物や本
    旅のお土産、思い出の写真など様々ですが
    それらが
    目の届くところ
    手の届くところ
    つまり、それらが身近にある空間が
    心地よい空間となります。
    ポイントは
    その人が気に入ってるものであること。
    でも、住まい手サイドが出来るのは
    残念ながらそこまで。
    いくらお気に入りの空間でも
    なんだか寒い・・・
    ふと窓の外を見たら
    誰かがこちらを覗いている・・・
    カーテンを閉めると
    閉じ込められたような・・・

 

  • さて、お気に入りは人それぞれですが
    人の手で作られたもので
    古いものは人を惹きつける何かがあります。
    古いもので残っているということは
    多くの人の手で大事にされてきたからに
    他なりません。
    骨董屋さんが世界中にあるのも頷けます。
    日本でも北欧のビンテージ家具などは、
    根強い人気があります。
    間取りや生活動線
    あるいは最近は
    性能も叫ばれていますが、
    それらは当然のこととして
    日々の生活をより豊かにする心地よい空間は
    設計者だけでなく、
    住まい手も参加することで
    より充実したものになります。

 

  • 今までの経験から
    心地良いと感じる空間は
    お気に入りのものが身近にあり
    四季を感じる植栽があり
    自然な素材に囲まれ
    暑さ寒さと言ったストレスを感じない
    そんな空間を
    日本人は心地良いと感じるようです。
    性能だけでは
    得られない
    心地よい空間
    あなたが
    本当に家を建てる理由は
    心地よい空間を求めてるから
    なのかもしれません。
    次回からもう少し
    心地よいと感じる空間を深堀していきますね。

 

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