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社長ブログケヤキの木の下で

心地よい空間とは

 

 

  • おはようございます、紙太材木店の田原です。
    先日の新住協の総会で話しを聞いたり見たり、
    いろんな人の意見を聞くと
    いろいろ思うことがあります。
    帰りの新幹線の中で浮かんだ考えを
    忘備録的に書きます。

 

  • 人はなぜ、家を建てるのか?
    安全安心を求めてとか
    人それぞれと言ってしまえばそれまでですが
    その目的は何か?と
    何度も突き詰めていくと
    最後には、
    心地よい空間を求めてと・・・
    住まいにおける心地よい空間は大きく分けると
    住まい手サイドで
    作り上げるもの
    設計サイドで
    作り上げるもの
    それに
    周辺環境によるもの
    この三つが主な構成要素です。

 

  • 断熱や気密
    換気や冷暖房装置などは
    心地よい空間を作るための設計者側の手段、
    あるいは責任といえるでしょう。
    もちろん間取りなどの設計プランや
    選択された素材
    例えば
    床壁天井の材料、ドアなどの建具も
    設計者サイドで作り上げるものになります。
    更に周辺環境は変えられませんが
    利用することはできますから、
    心地よい空間を作るために
    いかにそれを設計に取り入れられるか

 

  • さて、住まい手サイドが作る心地よい空間とは
    お気に入りの家具、椅子やテーブル
    花や植栽
    ちょっとした小物や本
    旅のお土産、思い出の写真など様々ですが
    それらが
    目の届くところ
    手の届くところ
    つまり、それらが身近にある空間が
    心地よい空間となります。
    ポイントは
    その人が気に入ってるものであること。
    でも、住まい手サイドが出来るのは
    残念ながらそこまで。
    いくらお気に入りの空間でも
    なんだか寒い・・・
    ふと窓の外を見たら
    誰かがこちらを覗いている・・・
    カーテンを閉めると
    閉じ込められたような・・・

 

  • さて、お気に入りは人それぞれですが
    人の手で作られたもので
    古いものは人を惹きつける何かがあります。
    古いもので残っているということは
    多くの人の手で大事にされてきたからに
    他なりません。
    骨董屋さんが世界中にあるのも頷けます。
    日本でも北欧のビンテージ家具などは、
    根強い人気があります。
    間取りや生活動線
    あるいは最近は
    性能も叫ばれていますが、
    それらは当然のこととして
    日々の生活をより豊かにする心地よい空間は
    設計者だけでなく、
    住まい手も参加することで
    より充実したものになります。

 

  • 今までの経験から
    心地良いと感じる空間は
    お気に入りのものが身近にあり
    四季を感じる植栽があり
    自然な素材に囲まれ
    暑さ寒さと言ったストレスを感じない
    そんな空間を
    日本人は心地良いと感じるようです。
    性能だけでは
    得られない
    心地よい空間
    あなたが
    本当に家を建てる理由は
    心地よい空間を求めてるから
    なのかもしれません。
    次回からもう少し
    心地よいと感じる空間を深堀していきますね。

 

  • .

 

 

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過去の家でも

 

 

  • おはようございます、紙太材木店の田原です。
    昨日ふと10月って
    こんなに暖かかったのかと
    過去の気象データ​を見てみました。
    2016年10月9日の美濃加茂市の
    最低気温は13.7度
    翌日の10月10日の最低気温は13.2度
    以後
    11日 14.3度
    12日 13度
    13日 10.6度
    14日 11.3度
    15日 9.8度
    16日 10.9度
    この気象庁の過去の気象データはクリック一つで
    前の年の同じ月、同じ日の
    最低気温や最高気温、平均気温等を見る事が出来ます。
    前年をどんどんクリックしていけば見れますが、
    観測点が各県で決まっていて
    私の住んでる町に一番近い観測点が
    お隣の美濃加茂市です。
    美濃加茂市の場合
    1979年からのデータしかありませんから
    比較できるのはその年までですが
    岐阜県の場合
    岐阜市は1883年まで
    高山市は1899年まで
    遡って比較ができます。
    秋や春と言った中間期だけでなく、
    冬の気温も比較すると温暖化が実感できます。

 

  • 例えば
    美濃加茂市では1981年の1月に
    最低気温が氷点下だった日は29日もあって、
    ほぼ毎日氷が張っている状態です。
    それが年を追うごとに減っていき
    今年は19日しかありません。
    温暖化が温室効果ガス、
    つまり二酸化炭素の排出量の増加が
    原因と言うことで、
    国は何とかその削減をしようとしてます。
    省エネが叫ばれるのもその一環。
    そのうちの一つに
    LCCM住宅整備推進事業と言うのがあります。
    ライフサイクルカーボンマイナスの
    頭文字からのLCCMです。
    住宅の建設時から最終的に取り壊されるまで、
    つまり建てる時に出るCO2まで含めて
    太陽光パネルなどの
    再生利用エネルギーを使うことで、
    CO2の排出量の収支を
    マイナスにする住宅のことですが
    残念ながら一般にはあまり知られていません。
    筑波市にLCCM住宅の実験棟が建てられてから
    既に10年以上(2010年)
    まだありますが、
    現在の視点で見ると15年ほど前の建物ですから
  • 見劣りするのは否めません。
    当時としてはかなり進んだ住宅でしたが、
    15年と言う時間の間の
    住宅を取り巻く環境は大きく変わりました。

 

  • つまり、これから先15年の
    住宅を取り巻く変化がどんなものになるか?
    来年2025年には建築基準法の改正
    2030年までに断熱性能等級4は廃止
    等級5が最低基準に
    2050年には日本の住宅全体の収支で
    CO2の排出がゼロになることを
    めざしています。
    どんな性能の家を建てるのも
    私の勝手と言う時代では
    ないことが分かります。
    家余りの時代
    800万戸の家が余ってるのに
    また建てるのは、
    今余ってる家の性能が
    低いからにほかなりません。
    そんな家をリフォームするくらいなら
    新しいのを建てようとする気持ちも
    分からないではないですが、
    その新しい家が
    15年後、20年後の性能の低い家では
    過去の繰り返しで
    世代を変えるたびに
    家を建てる
    つまり多額のローンを組むという
    罰ゲームを繰り返すことになります。

 

  • 中古の住宅でも筋が良ければ、
    耐震でも断熱でも
    リノベーションは十分可能です。
    新築を検討される方は
    選択肢の一つに入れても損はありません。

 

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オープンな縦張りのファサードラタン

 

 

  • おはようございます、紙太材木店の田原です。
    今日から数日雨模様とか。
    涼やかな風の吹く、カラッとした秋晴れが
    懐かしいこの頃です。

 

  • 木の外装材というと
    最近では杉板が思い起こされます。
    焼杉もありますね。
    倉敷等の古い町並みの家々をよく見ると
    壁や塀などいたるところで使われています。
    もちろん、この木で建物の外壁を覆うのは
    日本だけではありません。
    こちらの
    森林文化アカデミーの活動報告に
    ドイツの木造建築の紹介がありますが、
    建物の外壁には多くの木材が使われています。
    報告の中で解説しているように
    雨の多い高温多湿の日本では
    物理的な対策(軒や庇)が必要です。

 

  • 数年前、北総研が準防火地域でも
    木の外装材を使える認定を
    国交省から取得しました。
    北総研と言う公的機関が認定を取得しましたから
    日本全国、誰でも無料で使うことができます。
    建築業界と言うのは
    実は差別化の名の元、
    特許を取得して他社に使わせないという
    〇〇工法や〇〇断熱が多数存在します。
    そこには住まい手の利便性とか
    住宅が社会資産であるという意識はありません。
    どちらかと言えば
    住まいは単なる商品で
    売上の数字だけが全て。
    そんな住宅会社がまだ数多くあります。
    なので、耐震等級を上げることや
    断熱性能を上げることは
    価格のアップになりますから
  • 売上減少に直結します。
    極力そんなことはしたくないのが本音
    セールストークも
    寝た子を起こすな
    知らないことは伝えるな
    今までの性能や仕様で十分
    と言ったトークになりがちです。

 

  • さて、北総研が取得した準防火地域でも
    外壁に木材が使える認定は
    きちんと仕様が決まっていて、
    その通りでないと認定されません。
    外壁に使う板のつなぎ目にも仕様が決まっています。
    一般的な重ね張りや
    つなぎ目の上からつなぎ目を覆うように
    もう一枚板を張り付ける
    仕様は問題ありません。
    実は、このつなぎ目の隙間と言うのは
    火が燃え抜ける原因とされていて、
    僅かな隙間から
    火が板の裏側に燃えていきます。
    なので、この隙間を作らないのが
    認定された仕様の共通の仕様になっています。
    今回の新住協の総会で発表したのは
    準防火地域でも使える縦張りのファサードラタン
    つまり、縦張りの板と板の間に
    隙間(6mm~12mm)を
    入れた木の外装材の認定です。
    どんなイメージかと言うと
    リプランで八丁平の家​として
    紹介されていますからご覧ください。

 

  • 新住協の昨年度の事業計画で、
    国の認定を取得したもので
    実は費用もかなり掛かっています。
    費用は会員の年会費から
    捻出したものですが、

    北総研の木外壁と同じく

    この仕様は​一般に公開されます。

     

  • 私たちの全ての技術はオープンです。
    ​​​​​​新住協は特定の企業や団体に偏向することなく、
    またその技術はフランチャイズにすることもなく、
    全てのオープンな技術として公開しています。
    そうすることで、最終的にはユーザーの誰もが
    良質な住宅を求められる社会ができると考えるからです。

 

  • .
    ​​​​​​​​​​​

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総会の研修会から

 

 

  • おはようございます、紙太材木店の田原です。
    新住協の総会で香川県の琴平に来ています。
    四国というと瀬戸内海を渡りますから、
    岐阜県からは感覚的にかなり遠いイメージがありましたが
    新幹線で岡山まで
    岡山から丸亀まで
    それほど時間が気になることなく着きました。

 

  • 研修会の話は
    専門的になりますが何点かご紹介すると
    断熱改修の時、
    内窓設置だけでは暖房費の削減効果は小さいので
    壁や天井の断熱材補強をセットで考える。
    昨年から内窓設置には
    国から相当程度補助が出ていますが、
    今一つ伸びがありません。
    実は内窓設置だけでは効果が少ないんですね。
    QPEXを使って
    暖房費の削減効果の計算をすると一目で分かります。
    断熱改修の手法は新住協の技術資料や
    自立環境型住宅の設計ガイドラインで公開されてます。
    気流止めをすることや
    天井の断熱材を厚くすることで、
    かなりの効果が出ますから
    内窓設置だけでなく断熱補強も必要です。

 

  • さて、問題は気流止め
    北海道の須藤建設の須藤さんから
    北海道で断熱改修をする時は
    気流止めの設置は
  • 外部のサイディングを一部剥がして外から入れる
    しかし、来年の基準法の改正後は
    それが出来なくなるという話が出ました。
    どういうことかと言うと
    一昔前の寒い家では外壁は柱の外側に
    耐力面材を張らずに、
    防水紙を張ってすぐにサイディングを張ってました。
    ですから室内側から
    壁を剥がして断熱材を入れるより、
    生活しながら断熱改修ができますし
    コストも低く抑えることができます。
    ですが今回の改正では、
    外から断熱材を入れるには
    確認申請が必要となりました。
    理由は、柱の外に耐力面材があると
    それを切断したり撤去したりするから
    耐震性に影響が出るから
    というのが理由の様です。
    面材が張ってあるかどうかは分からないから、
    全て張ってあると仮定して
    外からの断熱材補強はNGとなったわけです。

 

  • 一昔前の寒い家、耐震性の低い家は
    耐力面材なんて張ってない家が大半です。
    現在でも筋交いだけで
    面材を張らない家は、
    相当程度建てられています。
    国はどんな家も一律にNGではなく
    家々の状況に合わせた
    対応が必要なんですが・・・
    この基準法の改正の件では
    国交省が住宅業界の各種団体に
    ヒアリングしてますから、
    新住協としても問題提起していく予定です。
    さて、今回の総会の研修では
    他にもお伝えしたいことがありますから
    何回かに分けてお話しします。

 

  • 次回は
    「付加断熱」+「厚い木材」を使った
    「無塗装」「すのこ張り」木外装です。

 

 

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木は雨に当たれば傷む

 

 

  • おはようございます、紙太材木店の田原です。
    昨日は平日昼間の打合せ。
    土日に打合せが集中する中、
    平日の打合せは本当にありがたいです。
    10月になれば日中の気温もそれなりに
    過ごし易くなるかと思いきや、昨日は34度
    明日から3日ほど雨模様のようですから
    それを越えれば、暑さはなんとかなりそうです。

 

  • 最近、隈研吾さんの馬頭広重美術館が
    議論されています。
    屋根の上の杉材を格子状に
    流れるように配置した木材が
    腐朽してきていて、
    修繕に3億ほど必要と言う話です。
    ある意味木を知ってる人には
    雨ざらしの木が腐るのは

    当たり前の話しなのですが、
    一般の方がこの話を聞くと、
    だからやっぱり木はダメだんだと
    短絡的に捉えてしまう可能性がありますから
    そこが気になるところです。
    木は雨ざらしにしない
    雨ざらしになる木は
    定期的なメンテナンスが必要だけど、
    いつかは交換する必要がある。
    定期的なメンテナンスを怠れば
    交換の頻度が高くなる。
    定期的なメンテナンスをせずに放置していると、
    一挙に全部交換となり多額の費用が掛かる。
    上記の美術館は、今この状態。

 

  • 日本の木造建築では木で建てられたいものは、
    計画的な維持管理をするという
    共通の認識がありました。
    雨が当たるところに木が使ってあれば
    その頻度が増しますから、
    屋根や庇で雨が当たらないよう工夫がされています。
    木の塀でも笠木(塀の屋根)を
    板金の屋根で覆うことで、
    耐久性は飛躍的に伸びます。
    薬師寺の東塔や法隆寺は1300年程前の建物で
    建物の外部に付属して木材が使われています。
    風雨が強ければ雨にあたるところですが、
    基本的に庇や屋根があります。
    雨のたびに濡れるわけではありませんから
    外部に使ってあっても長持ちします。

 

  • 新築の住宅でもデッキを作れば、
    屋根や庇もセットで考える。
    外壁に杉板を使えば必ず軒を出す。
    上記の馬頭美術館でも隈研吾さんは
    そんな木材の性質を説明をされていると思いますが、
    20年以上経つと
    行政の担当者も変わりますから
    そんな説明あった?となりがちです。
    誰もが傷むのは当たり前と思いながら、
    誰もがそのまま放置していて
    その結果が3億円の修繕。
    隈さんは木を使った建築で有名ですから
    なんだかここぞとばかり
    叩かれている印象があります。
    木を雨ざらしで使えばそうなるのは当たり前という
    一昔前なら誰でも当たり前に持っていた常識は飛ばして、
    設計者だけが悪いとするのは
    なんだかなぁ・・・
    行政側もどうしようもない所まで行かないと動けない
    そんな典型のように感じます。

 

  • さて、新築で家を建てれば10年、20年ほどは
    特に気になることはないでしょう。
    気になるようになるとすれば
    その後と言うことになります。
    家族構成も変わりますから
    間取りの変更や設備機器の交換も出てきます。
    基本はそのための積立で、
    30坪程度の家であれば
    年間10万~15万
    月に1万円前後の積立です。
    設備機器の交換や計画外の出費が起こった時の
    助けになります。
    通帳を別にしておくのがミソです。
    これをしておかないと一挙にドカンと出費
    と言うことになります。
    もちろん、杉板張りの家だけでなく、
    サイディングの家でも
    ガルバリウムの家でも
    塗り壁の家でも
    同じです。

 

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