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社長ブログケヤキの木の下で

絶対湿度のコントロールが必要な日本の夏

 

 

 

  • おはようございます、紙太材木店の田原です。
    猛暑が続いています。
    昨日は建設中の一日市場の家で写真撮影でした。
    と言っても工事中の写真で
    建設住宅性能評価を取得するため、
    工事中の各段階で撮影しなければならない写真です。
    猛暑の中、屋外で作業をすると瞬く間に滝の汗。
    午後2時を過ぎてましたが、
    調べてみるとその時間の岐阜の気温は38度
    32度や33度程度だとなんだかそれほど暑くないと
    感じてしまいますから、体の慣れは不思議です。
    とは言いながら連日の猛暑。
    疲労は溜まっているようで、
    朝起きた時に体の疲れを感じます。

 

  • さて、今回の中恵土の家の見学会では
    温度と湿度をどう設定するか?
    実は女性と男性では基礎代謝量が異なり、
    一般的には男性の方が多い傾向にあります。
    基礎代謝量が多いということは、
    体の中で熱が多く生産されますから
  • 男性は暑がりになり勝ち。
    ここで問題になるのがエアコンの設定温度。
    夏場には、暑いと感じる男性は
    設定温度を低くしがちですし、
    寒いと感じる女性の設定温度は若干高め。
    知らない間に設定温度が変えられているという
    密かな戦いが繰り広げられることも・・・
  • は反対に、寒いと感じる女性は高め。
    男性は低め。
    温度で制御しようとするとこのようなことが起こります。

 

  • ここで注目していただきたいのは、
    比エンタルピ
    簡単に言うと空気の持っている熱で、
    空気1Kgが持ってる熱量を言います。
    湿り空気線図で見ると分かりますが
    23度60%の空気と
    25度50%の空気を比べると
    比エンタルピは同じ50kj/kg[DA]で、
    同じ熱量を持っています。
    温度も湿度も違うのに同じ熱量を持ってるのは、
    絶対湿度が異なるからです。
    絶対湿度は空気1Kgに含まれる水蒸気の量の事です。
    同じ気温でも、絶対湿度の量によって
    空気の持つ熱は異なります。
    空気が持ってる熱が多ければ暑いと感じますし、
    少なければ同じ温度でも涼しく感じます。
    問題は
    エアコンでは温度の上げ下げはできますが、
    絶対湿度だけを上げたり下げたりできないことです。
    エアコンで使われるエネルギーは
    蟹のはさみで
    気温を下げるのに使われのが7割から8割
    湿度を下げるのに使われるのは3割から2割
    この比率が決まってしまっているので、
    湿度を多く下げようとすると
    設定温度を大幅に下げるしかありません。
    その結果は「寒すぎる」・・・
    なので家庭内のエアコン設定バトルの解決方法は、
    絶対湿度をどう制御するかにかかってきます。

 

  • F式と言われる手法もその一つですが、
    その前に設計者が脳みそに汗をかく必要があります。
    年々暑くなっていく日本の夏。
    昨日の岐阜の最高気温は
    39度34%でしたから
    絶対湿度は約15g/Kg
    これを
    25度50%にしようとすると
    絶対湿度は約10g/Kg
    つまり空気1Kg当たり5g除湿する必要があります。
    2時間に1回、家中の空気を入れ替えながら
    これをしようとすると・・・
    除湿はできても温度が下がりすぎたり
    温度はできても除湿が出来なかったり
    どうしたらいいのか?
  • 日本の夏を家族の誰もが快適に過ごすには、
  • 担当の設計者と十分な打合せが必要です。

 

  • .

 

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堅い床材足裏の疲労

 

 

  • おはようございます、紙太材木店の田原です。
    週末は中恵土の家の見学会でした。
    お越しいただいた皆様には、この場を借りて
  • 御礼を申し上げます。
    写真は家の中から見た庭です。
    私が撮ると庭にピントが合ってなくて、
    なんだかぼんやりな庭・・・
    竣工写真は後日、HPに掲載しますのでご期待ください。

 

  • さて、今回の見学会では二日間にわたって
    ご案内をしたのですが、
    気づいたことの一つが足が疲れたこと。
    お越しになる皆さんにはスリッパを履いてもらうのですが、
    私は足裏の感触を確かめるのもあって
    二日間とも靴下でご案内をしました。
    この住まいは
    1階はオークの無垢のフローリング
    2階は桧です。
    紙太材木店では通常1階のフローリングに、
    無垢のカバのフローリングを使用します。
    床材の堅さで言うと
    杉が一番柔らかく、
    順に

    カバ
    オークでしょうか。
    オークは広葉樹で木の材質としては
    堅い部類に入ります。

 

  • 足裏にスリッパのような緩衝材がなく、
    直接堅いオークのフローリングの上を
    歩いたり、立ったままでいる状態が長く続きました。
    足の疲れが単に年齢によるものか
    運動不足によるものか分かりませんが、
    カバのフローリングの時には
    感じない足裏の疲れです。
    オークのフローリングは値段は少し高めですが
    見た目もいいですし、
    キズも付きにくい性質があります。
    紙太材木店の事務所の床も
    無垢のオークのフローリングですが、
    靴を履いてますから
    疲れを感じたことは一度もありません。
    欧米のように家の中でも
    靴のまま過ごす文化では、
    無垢のオークのフローリングは
    耐久性もありキズも付きにくいので理に関っていて、
    足も疲れないのかもしれません。

    家の中では靴を脱ぐ日本の文化に、
    オークのような広葉樹の
    堅いフローリングが合っているかどうか。
    スリッパを履けば問題ないかもしれませんが、
    日本でそもそも家の中で
    スリッパを履いて生活している家庭が
    どれだけの割合でいるのでしょうか。
    普段の生活の中で、今回の私のように
    家の中で二日間立ったままと言うことは

    あまりないかもしれません。
    気づかない足裏の疲労は
    溜まっているのかもしれません。

 

  • 無垢のオークのような
  • 堅いフローリングを選択する場合、
    住まい手に対して
    家の中でスリッパを履く習慣があるか
    ペットを飼うかなど

    事前ヒアリングは必須と考えます。

 

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夏は相対湿度ではなく、絶対湿度で見る

 

  • おはようございます、紙太材木店の田原です。
    まだ7月ですが、なんと暑い日が続くことでしょう。
    週末に見学会を開催する下恵土の家は

 

 

 

  • 午後から日影になる玄関のドアに温度計をかけてますが、
    午後はほとんど35度越えの気温です。
    岐阜県の気温の観測点は何か所かあります。
    隣の多治見市にはありますが、可児市にはありません。
    多治見は暑い町として知られていますが、
    ひょっとして可児市の方が多治見より
    もっと暑いのかもしれません。
    知られざる灼熱の町、可児・・・

 

  • 室内のエアコンの設定をいろいろ変えて、
    室温や湿度がどう変わるか見ています。

 

 

  • もう少し下げると

 

 

 

 

  • 2枚目の写真に絶対湿度が出ていませんね。
    気温が20.7度、相対湿度が64%の時の絶対素都度は
    9.74g/Kg
    空調設計をする時、絶対湿度を使います。
    空気1m3の中にある
    水蒸気の量を言いますが、
    空調設計で計算する時は
    空気1Kgにどれだけ
    水蒸気があるかでします。
    なので温度計の絶対湿度の表記が上の写真のように
    気温25.1度
    湿度52%
    12.1g/m3だと
    Kg当たりに換算します。
    空気の重さは
    0.83m3=1Kgです
    なので、
    12.1g/m3は10g/Kg
    下の写真の
    20.7度
    64%の
    絶対湿度は9.74g/Kg

 

  • 上の2枚の写真、温度や相対湿度が違っても
    実は絶対湿度はそれほど違いはありません。
    夏の室内で目指す絶対湿度は
    10g~13g/Kgくらい
    上の20.7度では
    絶対湿度はなんとかいいですが、
    寒すぎますからNG
    でもお盆休みで外気温が37度なんて日に、
    親戚が2組来て子供たちの数もあわせて
    12人くらいが家の中にいるとなると、
    潜熱と顕熱で
    1200w以上程度あります。
    加えて外はまだ暑いから室内で焼肉・・・
    冷房の負荷計算ができると
    設置するエアコンの限界がわかります。

 

  • これからますます暑くなっていく夏。
    昨日の北海道は本州と変わらない暑さ。
    10年後や20年後は、あなたの住んでいる地域も
    夏は40度越えが普通になるかもしれません。
    換気をしながら寒すぎない室内、
    ジメジメしない室内をどう設計するか。
    全熱交換で換気すれば大丈夫という訳ではありません。
    設計者とよく相談してみてください。

 

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日射と視線を遮る工夫を

 

  • おはようございます、紙太材木店の田原です。
    週末に見学会を開催する中恵土の家に、
    ガラリ戸を取り付けました。

 

 

 

 

  • 横から見るとこんな具合です。

 

 

 

  • 前面道路は抜け道になっていて、
    一車線でそれほど広い道路ではありませんが
    かなりの交通量があります。
    庭もとりつつ
    視線を防ぎ
    同時に家の中への採光を確保し、LDKから外が眺められる。
    庭は外からどう見えるかと同時に、
    住まい手のための庭ですから
    リビングやキッチン、ダイニングからどうみえるか?
    室内から庭の植栽や木々を見ることが
    安らぎを与えてくれます。

 

  • ガラリ戸は、日射遮蔽の側面もあります。
    高性能住宅では中間期(春秋)の日射でさえ、
    室内を温めてしまいますから
    高性能になるほど日射対策は必須となります。
    西方設計の西方さんは日射対策に
    ヴァレーマの外付けブラインド​を
    よく使われていますし、自邸でも採用されています。
    紙太材木店でも外付けブラインドは使いますが、
    主に2階の窓や吹き抜けの窓の日射対策。
    1階の窓の対策はこのガラリ戸を使います。
    カーテンやブラインドは
    サッシのガラス面のすぐ内側や
    外側にガラス面に接するくらい近くに設置しますが、
    上記のガラリ戸は
    ガラス面から1mほど離れた位置に取付けてあります。
    この効果は部屋が広く感じる錯覚です。
    つまり、壁が1m外に移動したように見えるため
    室内がより広く感じられます。
    同時に夏場の強烈な日差しは
    室内を明るくし過ぎるきらいがあります。
    この明るすぎるを和らげてくれます。
    谷崎潤一郎の陰翳礼賛ではありませんが
    明るすぎない暗さも、日本建築では大切な要素です。

 

  • さて、3時過ぎに現地に行ったのですが
    その時の気温は38.3度

 

 

 

  • 気象データの一番近い観測点は美濃加茂市で
    15時は35.9度
    16時は34.9度
    多治見市は
    15時は36.8度
    16時は35度
    建設地は、美濃加茂市からは5Km
    多治見市からは12Km、離れてます。
    流石に35度を越えると、
    2.2Kwのエアコン1台では限界があります。
    近年の夏の暑さと湿度はある意味異常で、
    夏対策が喫緊の設計者の課題です。
    複雑な設備を使わず、
    エネルギー消費とメンテナンス費用を抑え、
    それでいて不快でない夏の室内環境。
    設計者はかなり、脳みそに汗をかくことになります。
    新築を検討される方は、
    設計者とよく打合せをする必要があります。

 

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どんな素材を使うかでわかる設計者や経営者の思想

 

 

 

  • おはようございます、紙太材木店の田原です。
    一日市場の家
    建前は二日間に渡りましたが、無事上棟しました。
    休息は午前中に2回、午後は3回。
    体に疲労が蓄積する前に
    休息するのがポイントでしょうか。
    休息する回数を多くすることで、
    一旦落ちた体力が戻るのも早くなります。
    休息の回数が少なければ、
    一旦落ちた体力や集中力の回復に時間がかかり、
    結局休息の回数を多くした方が
    体力の回復が早くなるように感じました。

 

  • 写真は屋根のルーフィングです。
    使用しているのは
    ウートップハイムシールドルーフ
    重ね合わせの部分に粘着テープが両面にあって、
    屋根面から水が侵入したり
    仕上げのガルバリウムを取り付ける前に
    雨が降っても、
    毛細管現象で水が上がらなくしてあります。
    このルーフィングの
    最大の特徴は耐久性対候性です。
    一般には様々なルーフィングが流通してますが、
    耐久性や耐候性は千差万別で
    はっきり言えば価格もピンキリ。
    安価なものは紙にアスファルトが
    しみ込ませただけのものもあります。

 

  • 昔は檜皮(ひわだ)や杉皮で
    屋根の防水をするのが普通でした。
    檜皮は神社仏閣などで、
    直接屋根ふき材としてありましたから
    一般の方の目にも触れてご存知かと思います。
    杉皮は、屋根の板の上に敷いておきます。
    その上に泥土を団子状に置き、
    瓦を押し付けて固定します。
    その杉皮の耐久年数はかなりあって、
    外壁や塀などにも使われています。

 

  • 日光の​旧イタリア大使館別荘​の
    外壁は杮板と杉皮が張られています。
    紙太材木店の旧事務所も
    大正2年に建てられていますが、
    大屋根の瓦は一度葺き直しをしただけで
    下ふき材の杉皮はそのまま使用しています。
    15年ほど前に紙太材木店の
    ​お上風呂の屋根の改修​をしてますが
    その時の写真がこちら

 

  • お上風呂10.19 023.jpg

 

 

  • こんな具合に、
    杉皮が現代で言えば防水紙として張られています。
    安価で耐久性や対候性の劣るルーフィングを使うより、
    昔ながらの杉皮の方がよほど信頼性があります。
    それとアスファルトのルーフィングは
    透湿抵抗がとても高いため、
    きちんと換気が出来ていなければ
    室内側から天井裏に入った
    水蒸気の逃げ場が無くなることになります。
    杉皮を一枚一枚貼り付けるより
    ロール状に巻いてあるルーフィングを転がして
    タッカーで取り付ければ施工性は上がりますし、
    耐久性が20年程あれば
    当面の雨漏れは防ぐことができます。

 

  • 先ほども言いましたがルーフィングは千差万別。
    価格を安くしようと思えば、
    どれだけでも合わせることができます。
    もちろん、外壁の防止紙もしかり
    発泡ウレタンも
    気密シートも
    コーキングも・・・etc
    きちんとしたものはそれなりの価格がします。
    新築を検討される方は価格も大事ですが、
    それ以上に、設計者や工務店の経営者の
    設計思想がどのようなものか知っておくことが大切です。

 

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