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社長ブログケヤキの木の下で

総会の研修会から

 

 

  • おはようございます、紙太材木店の田原です。
    新住協の総会で香川県の琴平に来ています。
    四国というと瀬戸内海を渡りますから、
    岐阜県からは感覚的にかなり遠いイメージがありましたが
    新幹線で岡山まで
    岡山から丸亀まで
    それほど時間が気になることなく着きました。

 

  • 研修会の話は
    専門的になりますが何点かご紹介すると
    断熱改修の時、
    内窓設置だけでは暖房費の削減効果は小さいので
    壁や天井の断熱材補強をセットで考える。
    昨年から内窓設置には
    国から相当程度補助が出ていますが、
    今一つ伸びがありません。
    実は内窓設置だけでは効果が少ないんですね。
    QPEXを使って
    暖房費の削減効果の計算をすると一目で分かります。
    断熱改修の手法は新住協の技術資料や
    自立環境型住宅の設計ガイドラインで公開されてます。
    気流止めをすることや
    天井の断熱材を厚くすることで、
    かなりの効果が出ますから
    内窓設置だけでなく断熱補強も必要です。

 

  • さて、問題は気流止め
    北海道の須藤建設の須藤さんから
    北海道で断熱改修をする時は
    気流止めの設置は
  • 外部のサイディングを一部剥がして外から入れる
    しかし、来年の基準法の改正後は
    それが出来なくなるという話が出ました。
    どういうことかと言うと
    一昔前の寒い家では外壁は柱の外側に
    耐力面材を張らずに、
    防水紙を張ってすぐにサイディングを張ってました。
    ですから室内側から
    壁を剥がして断熱材を入れるより、
    生活しながら断熱改修ができますし
    コストも低く抑えることができます。
    ですが今回の改正では、
    外から断熱材を入れるには
    確認申請が必要となりました。
    理由は、柱の外に耐力面材があると
    それを切断したり撤去したりするから
    耐震性に影響が出るから
    というのが理由の様です。
    面材が張ってあるかどうかは分からないから、
    全て張ってあると仮定して
    外からの断熱材補強はNGとなったわけです。

 

  • 一昔前の寒い家、耐震性の低い家は
    耐力面材なんて張ってない家が大半です。
    現在でも筋交いだけで
    面材を張らない家は、
    相当程度建てられています。
    国はどんな家も一律にNGではなく
    家々の状況に合わせた
    対応が必要なんですが・・・
    この基準法の改正の件では
    国交省が住宅業界の各種団体に
    ヒアリングしてますから、
    新住協としても問題提起していく予定です。
    さて、今回の総会の研修では
    他にもお伝えしたいことがありますから
    何回かに分けてお話しします。

 

  • 次回は
    「付加断熱」+「厚い木材」を使った
    「無塗装」「すのこ張り」木外装です。

 

 

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木は雨に当たれば傷む

 

 

  • おはようございます、紙太材木店の田原です。
    昨日は平日昼間の打合せ。
    土日に打合せが集中する中、
    平日の打合せは本当にありがたいです。
    10月になれば日中の気温もそれなりに
    過ごし易くなるかと思いきや、昨日は34度
    明日から3日ほど雨模様のようですから
    それを越えれば、暑さはなんとかなりそうです。

 

  • 最近、隈研吾さんの馬頭広重美術館が
    議論されています。
    屋根の上の杉材を格子状に
    流れるように配置した木材が
    腐朽してきていて、
    修繕に3億ほど必要と言う話です。
    ある意味木を知ってる人には
    雨ざらしの木が腐るのは

    当たり前の話しなのですが、
    一般の方がこの話を聞くと、
    だからやっぱり木はダメだんだと
    短絡的に捉えてしまう可能性がありますから
    そこが気になるところです。
    木は雨ざらしにしない
    雨ざらしになる木は
    定期的なメンテナンスが必要だけど、
    いつかは交換する必要がある。
    定期的なメンテナンスを怠れば
    交換の頻度が高くなる。
    定期的なメンテナンスをせずに放置していると、
    一挙に全部交換となり多額の費用が掛かる。
    上記の美術館は、今この状態。

 

  • 日本の木造建築では木で建てられたいものは、
    計画的な維持管理をするという
    共通の認識がありました。
    雨が当たるところに木が使ってあれば
    その頻度が増しますから、
    屋根や庇で雨が当たらないよう工夫がされています。
    木の塀でも笠木(塀の屋根)を
    板金の屋根で覆うことで、
    耐久性は飛躍的に伸びます。
    薬師寺の東塔や法隆寺は1300年程前の建物で
    建物の外部に付属して木材が使われています。
    風雨が強ければ雨にあたるところですが、
    基本的に庇や屋根があります。
    雨のたびに濡れるわけではありませんから
    外部に使ってあっても長持ちします。

 

  • 新築の住宅でもデッキを作れば、
    屋根や庇もセットで考える。
    外壁に杉板を使えば必ず軒を出す。
    上記の馬頭美術館でも隈研吾さんは
    そんな木材の性質を説明をされていると思いますが、
    20年以上経つと
    行政の担当者も変わりますから
    そんな説明あった?となりがちです。
    誰もが傷むのは当たり前と思いながら、
    誰もがそのまま放置していて
    その結果が3億円の修繕。
    隈さんは木を使った建築で有名ですから
    なんだかここぞとばかり
    叩かれている印象があります。
    木を雨ざらしで使えばそうなるのは当たり前という
    一昔前なら誰でも当たり前に持っていた常識は飛ばして、
    設計者だけが悪いとするのは
    なんだかなぁ・・・
    行政側もどうしようもない所まで行かないと動けない
    そんな典型のように感じます。

 

  • さて、新築で家を建てれば10年、20年ほどは
    特に気になることはないでしょう。
    気になるようになるとすれば
    その後と言うことになります。
    家族構成も変わりますから
    間取りの変更や設備機器の交換も出てきます。
    基本はそのための積立で、
    30坪程度の家であれば
    年間10万~15万
    月に1万円前後の積立です。
    設備機器の交換や計画外の出費が起こった時の
    助けになります。
    通帳を別にしておくのがミソです。
    これをしておかないと一挙にドカンと出費
    と言うことになります。
    もちろん、杉板張りの家だけでなく、
    サイディングの家でも
    ガルバリウムの家でも
    塗り壁の家でも
    同じです。

 

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新住協の総会では

 

 

  • おはようございます、紙太材木店の田原です。
    9月も最終日。
    明日から10月、今年も残り3か月。

 

  • 今週は新住協の総会が香川県の琴平で開催されます。
    推進会員の各メーカーの展示ブースもあり。
    サッシや断熱材、換気装置をはじめ
    高性能な家づくりに欠かせない資材メーカーの
    ブースもあったりで今から楽しみです。
    今回は木製サッシメーカーの参加も多いですし、
    YKKもAPW631(木製サッシ)で参加します。
    サンゴバンもECLAZ(イークラッツ)で参加予定。
    総会では毎回
    新住協の会員の建てた家の
    バス見学ツアーがあるのですが、
    今回のツアーでは佐藤の窓の組立工場の見学も入っています。
    もともと佐藤の窓は
    工務店でもあるパッシオパッシブの佐藤さんが
    新規の事業で始められたもの。
    今回はパッシオパッシブの
    モデルハウスにも行く予定です。

 

  • 鎌田先生の基調講演もあるのですが、
    実は一番の目的は全国の工務店の皆さんとの
    交流の場である懇親会です。
    昨年の青森に続き、今年も温泉旅館スタイル
    琴平温泉が会場なんですが、
    以前は丸いテーブルを8~10人が囲むスタイルでした。
    温泉スタイルは100畳敷きの畳の宴会場。
    お膳を前に浴衣スタイルという昭和な宴会ですが、
    椅子にテーブルより
    勝手に移動して座り込めるので、
    この方が込み入った話ができるんですね。
    次年度の総会の開催場所は
    毎年この総会の締めで発表されます。
    総会の前の理事会で審議して決めるのですが、
    今回の総会をどこで開くか
    コロナ明けと言うこともあって決まっていませんでした。
    なので今回香川で新住協の総会を開くことも、
    青森の温泉宿の昭和な宴会場の片隅で決まりました。

 

  • 展示品やモデルハウスなど
    最新のものや設計や施工などを見ることは大切ですが、
    その裏にあるもの
    あるいは意図と言ったものは
    結局その人とコミニケーションをすることで
    より多く得られます。
    世間では
    高断熱高気密
    あるいは
    高性能住宅と言われていますが、
    会員の中ではそれは普通の事なので
    一般に言われるようなUa値やC値が
    どうのこうのと言う話しはありません。
    話しの中心になるのは
    その先にある
    デザインや耐久性
    コストや施工性
    あるいは
    性能も質も落とさない
    大型パネルでの生産性の向上
    気候変動対策や
    猛暑が続く中での空調の在り方など
    話題には事欠きません。
    ある意味、
    次の時代の家づくり討論会でしょうか。

 

  • 2025年には建築基準法が改正されますが、
    省エネ基準などは欧米から20年遅れていると
    思っていいでしょう。
    改正されてもまだその水準であることを
    知っておく必要がありますし、
    2030年までにもう一度
    省エネ基準の改正があることも覚えておく必要があります。
    次の時代の家づくりというと
    自分自身は関係ないように思われるかもしれませんが、
    次の時代と言うのは20年から30年先ですから
    今年家を建てる方たちの家ももちろん対象になります。
    次の時代の家は
    お子さんたちの世代が
    喜んで住み継いでくれるような
    家である必要があります。

 

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二律背反

 

 

  • こんばんは紙太材木店の田原です。
    東京のYKKapのフェアから続いての所用で、
    ただいま帰りました。

 

  • 今年のエコハウス大賞のグランプリは
    新住協の重鎮

    楽園住宅(金子建築工業)+鎌倉寿建築設計室の
    岩村パッシブハウス
    実はYKKのフェアには
    金子建築工業の林さんや堀さんも一緒に
    新住協の中部東海のメンバーで行きましたから、
    道中、お二人から
    いろいろ話を聞くことが出来ました。
    大型パネルを使って建てたこともあって、
    実は新住協の研修で受賞した建物の
    建前当日に見学会も開催してます。
    来週、新住協の総会が香川で開催されますから、
    審査員に入っている
    ダイシンビルドの清水さんに
    色々とお話を聞けそうで楽しみです。

 

  • 今回のYKKのフェア
    今年出したYKKの木製サッシの実物が
    どんなものか
    凡その金額も含め
    確認できました。
    今までの日本の木製サッシは
    それほど大きくない小規模な企業が
    ある意味手作りで作ってましたが、
    今回、巨大メーカーである
    YKKが算入することで
    どう変わっていくのか気になるところです。
    紙太材木店で木製サッシを使う場合、
    以前はアイランドプロファイルのものでしたが
    最近は佐藤の窓
    スマートウインを使っています。
    これはもっぱらガラスの性能によるもので、
    日射取得と断熱の数値がいいんですね。
    この両方の数値が
    いいというのがミソです。

 

  • 日本の従来のガラスは
    一般に日射取得がいいと断熱性能が落ちたり、
    断熱性能がいいと
    日射取得が悪くなる傾向にありました。
    南面では日射の取得が良ければ
    それだけ暖房負荷は低減されますが、
    断熱性能が下がるので
    夜間にはガラス面にコールドドラフトが発生します。
    殊に南面は大判のガラス、
    つまり開口の大きなサッシを使用しますから
    ガラスも大型で面積の大きいものになります。
    冬季にこのガラス面からの冷気を
    いかに感じさせないか
    厚手のドレープのカーテンや障子、
    あるいはハニカムシェード等で
    冷気が極力室内側に来ないように、
    その冷気を感じさせないような工夫が必要でした。
    冷気を遮断すればその空間が冷えるわけで、
    今度は逆にガラス面やサッシの枠に
    結露が発生する可能性が高くなります。
    もちろんそれは
    樹脂サッシを使っても言える事なので、
    設計者は頭を悩ませることになります。

 

  • この二律背反をどう成立させるか?
    日射取得が出来て
    断熱性の良いガラスを使えば
    大丈夫と言うことになります。
    今回のフェアでは
    同業の工務店や設計者も来ているので、
    展示品を見ながらすれ違ったり
    挨拶したりするわけですが
    その時の何気ない立ち話や
    一緒にコーヒーを飲んで
    話しをしている時などに、
    今日一番の有益な情報が
    つまり、ここに来なければ
    絶対知ることが出来なかった
    家づくりのヒントなどがあります。
    セミナーの後の懇親会の方が
    有益なんてケースもあるわけです。

 

  • 今回は棲栖舎 桂の桂山さん
    (PHJ東海支部 支部長、新住協会員)から、
    今年一番のお話が聞けました。
    実は桂山さんは
    西方設計の西方さんから教えていただいたとか。
    これから建てる家で
    計画していると話してました。
    住まい手に取っても
    我々工務店や設計事務所にとっても
    職人さんにとっても
    三方よしです。
    紙太材木店でも早速取り入れますが、
    どんな話かは今しばらくお待ちください。
    ガラスとデザインと価格に関することです。
    住まい手の方はお楽しみに。

 

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十年ひと昔

 

 

  • おはようございます、紙太材木店の田原です。
    青森は最近朝から肌寒い天気で
    日中でも16度程度とか…
    むつ市では朝晩に暖房を入れている家が、
    普通にあるとのこと。
    東海地方も先週までの蒸し暑さもどこへ行ったのか、
    秋の気配を感じるこの頃です。

 

  • 今日から三日間
    東京のビッグサイトでYKKapのフェアがあり、
    これから出かけるところです。
    三日間なので、セミナーやイベントは目白押し。
    断熱や耐震、構造など
    実務者であれば誰でも知っている方が
    登壇されたり、講演されたりします。

 

  • YKKは2012年から
    APWフォーラムを各地で開催して
    断熱の重要性をアピールしてきました。
    APWの発売に平行して、
    一般の工務店に窓の重要性を喚起する狙いです。
    紙太材木店が初めてAPW430使ったのが
    2014年の10月の粟野の家
    今から10年前、
    当時はAPWの生産工場が北海道にしか無くて
    石狩工場からの出荷でした。
    当時のYKKのAPWの販売戦略は
    北から順次、南下していくというのも
    手始めに北海道
    それから東北
    そして関東
    中部地方での販売は北海道に遅れる事2年、
    YKKにはいつからこちらで販売するか
    何度も問い合わせた記憶があります。

 

  • 粟野の家は紙太材木店が
    初めて付加断熱をした家。
    屋根はHGW16K 30センチ
    壁はHGW16K  22センチ
    サッシはAPW430と
    吹抜けに330を使いました。
    Ua値は0.33
    C値は0.3
    現在の基準で言うと6地域ですから
    断熱性能等級は6
    基準の0.46よりはかなりいいのですが、
    等級6であることに変わりはありません。
    2015年に新住協の総会が名古屋で開催された時の
    分科会の見学先になっています。
    当時の一般の建築仲間の反応は
    そんなに高い性能はいらない!
    なんでそんなのが要るのか?
    トリプルガラス?
    考えられん、何を考えてる?
    日本で初めてのパッシブハウス
    鎌倉パッシブハウスが建てられたのは2009年ですから、
    それから既に5年経過していても
    当時の反応はそんなものでした。
    北海道では既に300ミリ断熱なども
    言われていた時代ですが、
    北海道以南の内地での認識は
    今とは
    隔世の感があります。
    今の時代、断熱性能等級6程度で
    断熱やり過ぎと言う方は恐らくいないでしょう。

 

  • ここで皆さんにお伝えしたいのは
    断熱性能を考えると
  • どうしても断熱性能等級や
    断熱材の厚さ、それにUa値などに
    目が行きがちになります。
    国の基準が今のところそうなっているので
    そっちを見てしまうのも仕方がない面もありますが、
    住まい手として
    あるいは実務者として
    意識しなければならないのは、
    冷暖房負荷です。
    暖房費にいくらかかる家か
    冷房費にいくらかかる家か
    断熱等級やUa値なんて、
    実際に住む人には単なる数字でしかありません。
    必ずしも等級が良ければ
    冷暖房費が少なくなるわけではありません。
    しかし、暖房費や冷房費は
    あなたの懐にダイレクトに影響しますし
    それは同時に環境にも影響を与えます。

 

  • これから家を建てる方は、
    上辺の数字がどんな意味を持ってるのか
    よくよく考える必要があります。
    冷暖房負荷を計算すると
    実は上記の数値や等級が
    ほとんど意味がない場合もあったりします。
    何度も言いますが、
    Ua値などは参考程度にとどめ
    冷暖房負荷を気にしてください。
    新住協でもPHJでも問われるのはそちらです。

 

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