社長ブログケヤキの木の下で
玄関やトイレ、お風呂を暖かくするには、暖房負荷の計算が必要
- おはようございます、紙太材木店の田原です。
今朝は16度の川辺町
10月も末ですが朝が寒いとは感じません。
10年前の2014年10月29日のブログを見てみたら、
朝の気温は3.5度とありました。
過去の気象データから
当時のお隣の美濃加茂市の10月の気温を見ると
- 朝の最低気温は
28日は7.6度
29日は4.7度
30日は7.3度
寒波が来ていたようですね。
- 暑いのも難儀ですが、
エアコンがあれば自分のいるところに対しては
それなりに涼しくすることができます。
寒いに対して
家中ちゃんと暖かくして
家の中では何処でも寒さ、冷たさのストレスを
感じないようにするというのは、
意外に難しいものです。
エアコンは空気を温める装置ですから
暖かくなった空気は部屋の天井近くに溜まり
くるぶしから下となると、
暖かい空気はなかなかそこまで降りてくれません。
そんなに簡単に
横のお隣の部屋にも動いてくれません。
玄関やトイレ、お風呂の中もそうです。
- 特に玄関は大きなドアを閉開しますから、
出入りのたびに中の暖かい空気が出ていき
外の冷たい空気が入ってきます。
更に玄関の床はコンクリートの上に
タイルが張ってある家が大半。
しかもそのタイル面は、
玄関ホールのフローリングの床より
20センチほど下がって段差が出来ています。
家中の冷たい空気は重いので
下へ下へと下がっていきます。
家の中で一番下の床が
コンクリートとタイルでできた玄関の床。
比重のとても小さな空気で
比重のとても大きなコンクリートとタイルを温める?
玄関なんて一瞬通り過ぎるだけだから
寒くてもいい?
玄関ホールを扉で仕切って、
冷気がリビング側に
入ってこないようにする?
- 断熱や気密がきちんとできている家になればなるほど、
家の中で寒い区域を作るのは結露のリスクが高まります。
冬の結露は
暖かくないところ
冷たいところ
寒い所で発生します。
一種の全熱交換器で換気をしてるから大丈夫
ではありません。
お風呂やトイレ、玄関を寒くしない設計は
全熱交換器を使ってる家でも設計者には求められます。
お風呂やトイレ、玄関は
建物の角にあることが比較的多くなります。
建物の角にあるということは
4つの壁の内、二つの面が外気に接しているということ。
平屋であれば、天井も外気に接します。
室内側にある壁の向こうは、同じ室内で気温も20度くらい。
でもこれからの季節
外気に接している壁の向こうは
3.5度とか0度・・・
お風呂は1坪の大きさとすると真四角の形をしています。
お風呂が角にあれば2つの壁面が外気に接しますし、
角でなければ1つの壁面しか外気に接しません。
熱は暖かい方から寒い方に移動しますから、
建物の角にあるお風呂の外気に逃げていく熱の量は
1面しか外気に接していないお風呂の
2倍と言うことになります。
お風呂や玄関、トイレを寒くしないために
1時間当たり何wの空気が
何m3必要か?
それには、それぞれの部屋の
暖房負荷を計算する必要があります。
- これから
冬に向かって寒くなっていきますが、
新築を検討される方は
設計者と相談しながら
暖かい家をお建てください。
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能登半島地震の被害報告の報告は必須
- おはようございます、紙太材木店の田原です。
今週は雨模様の様、朝から雨です。
台風も発生しているようで動きが気になります。
- お正月に発生した能登半島地震の被害の調査が進んでいます。
その報告会や研修会が、最近開かれるようになりました。
既に地震から10か月以上経過してます。
実際の被害がどれほどか
JBN(全国工務店協会)が今回開く研修会の資料によると
全壊6.421棟
半壊22.823棟
一部破損103.768棟
この数字を見ると
改めて被害を受けた棟数の多さに驚きを禁じえません。
講師は㈱山辺構造設計事務所の山辺豊彦さん
MOKスクールでも講師をされていますし、
木造の構造の大家でもあります。
山辺さんが実際に被災地を回り、
住宅の被害状況や
どうして倒壊したかなどの実例を
踏まえて解説される講習です。
- 熊本地震の時もそうでしたが、
古い家ばかりが被害を受けているわけではありません。
熊本地震では
1981年の新耐震基準
2000年の耐震基準でも
被害を受けた家が多くあります。
国交書の報告によると
1981年の新耐震基準では8割
2000年の耐震基準でも4割が
何らかの被害を受けています。
能登半島地震の被害を受けた家についても
熊本地震と同様、今後詳細な被害報告が
国交省から出ると思われますが
耐震基準別の被害の割合は
それほど違いはないでしょう。
ただ、一般の方に知っていただきたいのは
耐震基準には等級があることです。
単に現行の基準を
満たしているだけの基準もあれば、
それを上回る基準もあります。
等級1から等級3までありますが、
更にその等級の出し方も
各種の計算方法があるという
一般の方にとっては
とても分かり難いものになっています。
- 設計者があるいは依頼しているHMや工務店が、
耐震についてどう考えているかで
選ばれる基準は異なります。
私の設計では耐震等級3だけど、
第三者機関の認定を
取ってるわけではないので
確認申請書上では等級1です。(耐震等級3相当)
実はこういうことも十分あり得ます。
許容応力度計算(構造計算)をして
耐震等級3にしても、
1坪分の金額には届きません。
31坪の広さの家を
30坪にすれば
お釣りがくると言うことになります。
- 今回のJBNの講習では
・能登半島地震での建物被害の状況
・倒壊した住宅の原因追及
・構造計画のポイント解説
講習の内容は設計者にとって
非常に有意義なものになっています。
構造塾の佐藤さんも
各地で今回の地震について講習をされています。
構造が専門の先生方のこれらの講習は、
一般の住宅設計者には必須の講習と考えます。
- P.S.
最近は平屋の家が人気で平屋専門の工務店もあるとか。
来年2025年には建築基準法が改正されて
4号特例が縮小され、
木造住宅の構造の審査が厳格になりますが
実は、200m2以下の平屋は適用外。
200m2なんて60坪以上ですから
そこまでの広さの平屋を建てるケースは
日本中でもごく少数・・・
平屋で住まいを検討される方は
適用外だからしなくていいではないんですね。
ちゃんと構造の確認が
設計者側でしてあることが前提で、
その確認まではしませんと言うことなんです。
なので、ご自分で設計者に確認するしかありません。
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3.1度も上がる前に
- おはようございます、紙太材木店の田原です。
今の時期は暖房も冷房も必要ありませんから
窓を開けて風を楽しむことができます。
網戸は付けたままの家が大半ですから、
蚊や虫が入ってくる心配もありません。
-
実は、古い家の窓は
サッシでは無くガラス戸ですから
網戸は衣替えに合わせて出したり仕舞ったり。
障子や襖も同じで、夏の間は簀戸になります。
エアコンの無い時代ですから通風頼みですが、
まぁそれでも団扇と扇風機で何とかなってきました。
住まいの衣替えの時期は6月と10月ですが、
今年のように夏がどんどん長くなると
どうなることかと心配になります。
-
今朝のニュースで、
このまま温暖化ガスの排出が続くと
今世紀末には平均気温が3.1度上がるとか
3.1度も上がれば、秋と春が極端に短くなって
夏と冬だけになるか
酷暑の夏と
秋に似た冬になるかもしれません。
建築に携わる身として
出来ることを考えてみると
住宅を建てる時は工業製品だけでなく
出来るだけ自然なものを使えば、
製造時のエネルギーを削減できて
少しはお役に立てます。
暖房エネルギーや冷房エネルギーが
少しで済む家ならもう少し貢献できることになります。
住まいを木造で建てる方が多いと思いますが、
住宅で使われる木も地元の木(県産材)であれば
運搬するエネルギーも(ウッドマイルズ)
少しで済みますし
お金が東京や大阪に本社がある会社に
行ってしまうのではなく
地元で回ることになります。
もちろん住宅ローンも地域の金融機関であれば
お金がどこか遠くへ行ってしまうのではなく、
地域で回ることになります。
-
地方で家を建てるということは
凡そ50年はそこに住むわけです。
その地域がそれなりに
元気でいてもらわないと困ることになります。
家を建てる時の数千万のお金が
地元で回るのか
東京や大阪へ行ってしまうのか
個人が数千万ものお金を使うのは
住宅を建てる時しかない訳で、
そのお金はどこへ行くのか?
これからの時代
地方に住まなければならない人は
自分のお金の行く先がどこか
考えてみる必要があります。
一度家を建てれば、50年は住むことになるのですから。
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住まいの外観 時と共に変化したいのか、そのままか
- おはようございます、紙太材木店の田原です。
今日は一日、雨模様の美濃地方。
雨に濡れたケヤキの落ち葉の掃除が・・・
- 紙太材木店では木製のガラリ戸を使うことがよくあります。
日射の遮蔽や外からの視線を遮れますし、
横桟に隙間がありますから
閉めていても中からは外の様子がよく分かります。
鍵もかけられますし、
横桟を太くすれば飛来物対策にもなって
一石二鳥以上の優れものです。
このガラリ戸
使っている木はピーラーと言う目の詰まった米松。
米松の松の字の前にある米はアメリカの事で、 - 輸入材です。
お分かりのように円安や資材価格の高騰で、
昔(20年ほど前)の価格を知っている人間には
びっくりな価格になってます。
一昔前の住〇林業の和風の家の
破風や鼻隠しには定番のように使われていましたし
建築家の伊礼さんが設計される家でも
破風や鼻隠し、戸箱などで
数多く使われていますから、
ご存知の方もあると思います。
- ピーラーの値段が高くなったのなら
桧や杉など他の木ではと
お考えになるかもしれませんが、
ピーラーと同じような色にしようとすると
桧は油分が多いので着色が難しいんですね。
杉は色は付くのですが同じような色にはならない。
桧や杉は経年変化で
灰色や濃い茶色に変色していきますが、
ピーラーはキシラデコールなどで着色すると
杉や桧のような変化にはある程度時間がかかりますし、
塗り直せば更に伸びます。
建築当初の外観の配色イメージを
ある程度の時間持たせることができます。
- 壁を漆喰やソトン壁のような
塗り壁やガルバリウムにして、
破風や戸箱をピーラーなどで仕上げると、
板張りなどの家に比べ
外観の経年変化による
配色の変化はとても少なくなります。
つまり相当な期間、建築当初と同じような
外観を維持できることになります。
それをどう捉えるか?
ある意味それはスタイルとでも
言っていいでしょうか。
- 時と共にご自宅の外観が変化していくを楽しみたい方
いやいや
建てた時のイメージを出来るだけ長く保ちたい方
もちろんピーラーをキシラデなどで着色せず
そのままであれば、経年変化は速くなります。
スタイルは人それぞれですし
選択肢も色々あります。
そのままがいいか
自然な変化がいいか
自然な変化がいいけど
それは少しゆっくりがいいか
ご夫婦でも違いますし、
今のあなたと10年後、20年後のあなたでも違います。
そして板張りなどで経年変化する外観も、
30年を経過すればその後は落ち着きます。
自然なものに人工的な着色をすれば、
紫外線の影響で必ず変色し劣化しますから
それを維持しようとすれば手間とお金が必要です。
どうするかは
財布とも相談する必要がありますから、
設計者も含め慎重に考える必要があります。
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日本のサッシの特徴とメンテナンスコスト
- おはようございます、紙太材木店の田原です。
今朝は13度ほど。
10度を下回る日がいつになるかですが、
そんなに遠くは無いようです。
- 本日はサッシの話し。
日本のサッシと欧米のサッシの違いですが、
木製とか樹脂とかガラスとか色々あります。
取り付け方も違います。
サッシ本体につばが付いているかいないかです。
建物の外壁面にサッシを取り付けるのに
つばが付いていると取りつけやすいんですね。
防水上もそのつばの上から防水テープを張るというのが、 - 教科書になっています。
そしてサッシを取り付けてから
外壁のガルバリウムを張ったり
モルタルを塗ったり
タイルを張って仕上げます。
風雨が強ければ雨が壁面にもあたりますから、
サッシと仕上げ材の隙間から水が入って
雨漏れしては困りますから、
つばにテープを張って仕上げるのですが・・・
- 欧米のサッシには、そのつばがありません。
雨が降らない訳ではありませんから
つばが無いのには理由があります。
日本人の感覚では
サッシは一度取り付ければ一生もので、
交換なんてつゆほども思わないという感覚ですが、
彼らは違います。
家なんて100年持つのが当たり前。
だからその間に、サッシは必ず交換する。
だから交換しやすいように取り付ける、です。
- 日本の家は戦後30年程度で
建て替えられてきたので、
サッシを交換する必要がありませんでした。
なので、サッシを交換するなんて
思いもしない考えなんですね。
でも100年住むとなると、
設計思想そのものが違うことになります。
つばがあると
サッシを交換する時にサッシの周りの外壁を
剥がさなければなりません。
ガルバリウムであれ
塗り壁であれ
何であれ
剥がして交換となりますが、
その外壁の修理となると足場が必要とか
20年以上経過していれば
同じ模様や形のものが無いなど
不都合が出てきますし、費用も割高になります。
でも、つばが無ければ
工夫すれば外壁を傷めることはありません。
- 日本で作られる木製サッシなどにはつばがありませんが、
日本ではアルミサッシだけでなく
樹脂サッシには全てつばがあります。
どのサッシメーカーのものでも、全てつばありです。
なので30年後、40年後の交換時期には
足場を含め、それなりのメンテナンスコストが
かかることになります。
さてそんな中で、たとえつばがあっても
外壁が簡単に剥がせたり
誰もが容易に修理できれば
その補修費用は安く済みます。
それは簡単で杉板を張ること。
ビスで止めてありますから簡単に取り外しできます。
杉材なら30年後、40年後でも
日本全国どこでも安価に容易に手に入りますし、
40年程度であれば
剥がした杉板はそのまま使えるでしょう。
最近流行りのガルバリウムでは
そうはいきません。
サッシの交換と言うのは
従来の日本人が持っていない考えです。
- 家の寿命は30年ほど前の日本の家に比べ、
格段に伸びています。
いくら性能が高くでも、
50年.60年と言う長期に渡る
メンテナンス費用が高額になるような家では
残念としか言えません。
服や靴のように身に着けるものであれば
流行やその時の好みで選んでも
問題はありませんが、
それすら年齢、年代によって変わっていきます。
住まいの外観にも
流行りと言うものがありますし、
SNSでは素敵と感じる家の写真は溢れています。
住まいの外観デザインは大切ですが、
ファッションではありません。
30代で家を建てれば、50年住むことになります。
一時の素敵が
50年間にどれだけのメンテナンスコストが必要か
考える必要があります。
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