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社長ブログケヤキの木の下で

2018年10月15日

古い料亭の設え 高山 洲さき


おはようございます、
紙太材木店の田原です。
週末は法事で高山
観光地の高山は先週、秋の高山祭があったばかりですが
古い町並みは人で溢れていました。
法事の後の御斎は洲さきで
上の写真のような開放的なお座敷です。
創業220年、建物も古く
料理もさることながら
建築屋としてはどうしても室内の造作や設えに目が行ってしまいます。
窓は風情のある昔ながらの板ガラス
もちろんペアガラスではありません。
このお座敷は2階ですが
ガラスは掃出しになっていて
手前に手摺が取り付けてあります。
最近はご覧のように和室でも椅子で食事と言うのが普通になってきましたが
昔ですから正座で食事をしたときの目線を考えると
腰からの窓があってはこの解放感は得られません。
上の写真をよく見ると分かりますが
正面と右側の椅子の並んでいるところは
実はお座敷の外つまり廊下です。
写真の右側に建っている柱の位置を見ると分かりますし
欄間障子の位置からも分かります。
高山のような3地域つまりとても寒いところでは
このように廊下を二重にめぐらせて
寒さ対策をしているんですね。
高山のような寒いところでは
陽気のいい季節は限られていますから
短い夏を如何に楽しむか、同時に寒さの対策をどうするか
昔の人の苦労や工夫が偲ばれます。
京都の俵屋​と言えば知る人ぞ知るですが
吉村順三の設計
上の写真では正面右の位置の角に柱がありますが
その位置に柱がありません。
角に柱がないと視覚的に遮るものがなく
隣家が迫った京都の町中でも解放感のある空間になっています。
障子もちょっとしたデザインの工夫がしてあります

お分かりになりますか?
一枚の障子紙は障子の4マスのサイズ
普通は障子紙の継ぎ手は桟のあるところでしますが
わざわざ半マスずらしています。
紙の重ねは3mmほどで
それが透けて見えることで一つのデザインになっています。

他にもいろいろあるのですが
一般の方にはこちらのほうがお勧めかもしれません。

逆さに写しているのではなく
宗和流本膳料理では
鮎の塩焼きはこのように出されます。
鮎の塩焼き
私もひと夏に何度も炭火で焼くのですが
こんな風には焼けません。
こんな風と言うのは
この鮎、頭からそのまま食べても骨が舌に当たりません。
固いヒレの骨も、もちろん背骨もです。
添えてある緑は蓼(たで)で鮎と一緒に食します。
この洲さきの鮎の塩焼きを食べると
他で鮎の塩焼きを食べようという気になることはないでしょう。

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