社長ブログケヤキの木の下で
2016年3月28日
透湿抵抗の小さい断熱材とは
おはようございます、
紙太材木店の田原です。
先週、数少ない一般読者の方から質問がありましたので
お答えさせていただきまます。
質問は
屋根は合板+屋根の形に合わせたアクアフォーム吹付
この場合、屋根裏換気があればアクアフォームから2階天井部分は
結露しないように思うのですが、どうなんでしょうか?
というもの
質問内容から判断すると、質問者の断熱方法は屋根断熱
屋根断熱と言うのは斜めになった屋根の形に合わせて断熱材を設置するもので
主に勾配天井で小屋裏にロフトを設ける場合にする断熱
それとは別に
2階の水平な天井に断熱材を設置するのは天井断熱といいます。
つまり、二階の天井については二種類の断熱方法があります。
質問された方は屋根の形状に合わせて断熱という表現から
屋根断熱と判断されますが
質問内容は屋根裏換気をすればアクアフォームと天井の間で結露しないか?というもの
ちょっとよくわからないのですが、
質問内容通りなら
答えはその間(アクアフォームと2階の天井)では結露しません。
でも
質問者が屋根断熱と天井断熱を勘違いしている可能性があり、
屋根面に直接吹き付けたアクアフォームと屋根合板の間では結露すると思われます。
なぜこのような質問が出たかというと
屋根裏換気を設ければ天井断熱をした場合
防湿層を省略出来るという規定があって
質問者は天井断熱と屋根断熱を混同している可能性があります。
あるいは相談している営業担当者が勘違いしていることも。
さて、
国交省の長期優優良住宅化リフォームの評価基準と
アクアフォーム施工マニュアルのHPを見てみましょう。
この長期優良住宅化リフォームのイ基準は現行の長期優良住宅に適合するもの
その13Pに下記の規定があります。
繊維系断熱材その他これらに類する透湿抵抗の小さい断熱材を用いる場合は
防湿層を室内側に設置すること云々
こちらに日本アクアの施工マニュアルがあります。
それによると
ちょっと小さくてわかりませんね
拡大すると
断熱住宅の設計上の留意点の中の
2防湿層の設置の中に
透湿抵抗の小さい断熱材を使用する場合は、防湿層を断熱材の室内側に設ける
と有り
該当する断熱材に
2吹付硬質ウレタンフォームのうち JIS A9526 A種3に該当するもの
とあります。
日本アクアのHPに
アクアフォームの断熱材品種が出ています。
つまり
アクアフォームは
吹付硬質ウレタンフォームのうち JIS A9526 A種3に該当するもので
湿抵抗の小さい断熱材を使用する場合は、防湿層を断熱材の室内側に設ける
に該当する断熱材品種
一般の方ではここまでなかなかたどり着けません、
以前、Lixilがサッシの熱貫流率に容易にはたどり着けないようにしていたように
都合の悪い部分は嘘はつかないけれど正直ストレートには出さない
そんな企業姿勢が垣間見えます。
(この時代それだけでNGだと思うのだけど・・)
さて、上で紹介したこれ
防湿層の設置
その中の省略
防湿層を省略出来る要件
透湿抵抗比の計算または一次元定常計算による防露性能の確認計算によって省略出来る
とあります。
ある一定条件をクリアすれば防湿層を省略できるよ
と言ってるわけですが
いろいろ申し上げましたが
結論を言えば
日本アクアのHPに出ています。
つまり
アクアフォームの外壁側に通気層が必要です
それが設けられない場合は
防湿層(気密シート)を設置してください。
そのようにこの施工マニュアルは言ってます。
恐らく一次元定常計算にようものと思われます。
アクアフォームの外側に通気層を設けるのが必須
透湿防水シートの外側に合板があれば当然、室内側に防湿層(気密シート)の設置は必須
屋根断熱についても同様
最近の在来木造の主流は
合板プラスサイディング
外壁側は筋交いのみで防湿シートプラスサイディングというところもありますが・・・
結論は
屋根あるいは壁に合板が使ってあれば
アクアフォームでも室内側防湿シートは必須と考えます。
壁が合板の場合は通気を取るのは困難
屋根合板で通気が確保できれば良いかもしれませんが
一次元定常計算でエビデンスを確認する必要があります。
質問者のように合板に直接吹付けは通気が取れませんからNG
一番簡単な確認方法は
この仕様で長期優良住宅、あるいは長期優良住宅化リフォームが通りますか?
ということを
日本アクア、あるいはアイシネンに直接お聞きになることです。
外気側が合板仕様で直接吹き付ければ
「必要です」
と答えるはずです。
PS
一次元定常計算
室内側温度15度、湿度50%、
室外側その地域の平均最低気温、湿度70%
このように仮定しての結露計算ですが
冬に暖房した室内15度と言うのはあまり考えられません。
一次元定常計算でOKだからというより
可能性があるのなら安全側に配慮すべきと考えます。
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