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社長ブログケヤキの木の下で

空き家を再生産しないために

 

 

  • おはようございます、紙太材木店の田原です。
    今朝は氷点下2.5度、今シーズン一の冷え込みです。
    過去の気象データでお隣の美濃加茂市の
    1981年12月の気温​を見ると、
    氷点下になっていないのが5日しかありません。
    31日の内、26日間が氷点下
    一日の平均気温がマイナスなんて日まであります。
    今月はまだ20日ですが
    氷点下は5日間しかありません。
    確実に温暖化は進んでいます。
    それでもまだ、冬が寒いのは変わりません。

 

  • さて、補助金の減額で灯油の値段は
    今月、来月と上がっていきます。(ガソリンも)
    燃料の補助金の総額は10兆円以上ですが、
    お金の行先は元売りの会社。
    ある意味、何も残らず消えていくお金です。
    住まいの断熱性能を上げる
    窓リノベのような補助金であれば、
    それは形となって残っていきますが
    燃料の補助金となると燃えてなくなります。
    何も残ることはありません。
    燃やしてしまうんですから・・・
    一過性の効果しか望めない。
    継続性のある効果は逆に望めない訳で、
    税金の使い道としては疑問が残ります。
    灯油をじゃぶじゃぶ使えば
    暖かくなる家が、
    これからも引き続き残ることになります。
    本来であればそんな家は
    神の見えざる手で
    あるいは市場原理で
    淘汰されていくべきなのですが、
    それを遅らせる効果しかありません。

 

  • 2023年の総務省の資料では
    日本の総住宅数は6502万戸。
    2018年から261万戸の増加です。
    空き家は2018年から51万戸増えて900万戸。
    誰が住むねん?
    空き家のうち
    賃貸や別荘などを除いた戸建て住宅は385万戸。
    2024年の分譲と持ち家の
    着工件数が約35万戸ですから、
    11年分の家が余っていることになります。

 

  • なぜ余っているか
    なぜ誰も住まないかと言えば、
    その多くが耐震性が低く
    寒くて暑い家だから・・・
    灯油をじゃぶじゃぶ使わないと
    暖かくならないから
    地震が来たら倒れるかもしれないから
    そんな家で子育ては誰もしません。
    これから日本で建てられる家で
    求められている性能の家は
    長期優良住宅で
    耐震等級3
    断熱性能等級は最低でも6
    出来れば等級6+
    そうでなければ、あなた自身が
    空き家を再生産することになります。

 

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平屋を建てる時に

 

 

 

  • おはようございます、紙太材木店の田原です。
    研修で東京に来ていますが、
    岐阜の田舎から出てくると圧倒されます。
    これでもかと言うほど高層建築があって、
    しかもまだまだ工事中。
    タワークレーンがそこかしこのビルの上で動いています。
    感覚的には名古屋が20個くらい集まったような・・・
    人口
    名古屋市230万人、東京都1400万人
    経済規模
    名古屋市13.5兆円 東京都113.5兆円
    一人当たりで割り戻すと
    東京は名古屋の約1.4倍の生産性がありますが、
    市場の評価はそれ以上あることになります。

 

  • さて、今朝のNHKのニュースで
    変わる戸建て市場と題して住宅の事を報じていました。
    ある住宅メーカーでは
    平屋建ての契約が全体の4割になっていると言ってました。
    実際今、基礎工事中の可児の家は
    6宅地ある分譲地でお隣は平屋が建っています。
    残りの4宅地の内2宅地も基礎の大きさから推測すると
    平家のようです。
    最近、なぜこんなに平屋が
    増えてきたのか?
    ひょっとしたら誰かがどこかで
    意図的に平屋ブームを作り出していて、
    知らず知らずにそちらに誘導されているとしたら?

 

  • 2025年4月に建築基準法の改正があります。
    それを見越しての入念な計画かも・・・
    この改正で従来の木造2階建ての住宅は
    4号特例が縮小され、構造計算が義務付けされます。
    簡単に言うと2階建ての木造住宅は
    建築士が構造計算をしているはずだから
    確認申請の時の構造計算書なんて出さなくていいよ。
    つまり、建築士の性善説に基づいて
    計算書の提出を免除していたんですね。
    それが2025年4月から、
    2階建ての木造住宅を建てる時は
    構造計算書の添付が義務付けられました。
    特例で免除していたのを廃止し、
    厳格に提出を義務付けたわけです。
    住まい手に取っても
    地域にとっても
    国にとっても
    きちんと構造計算された住宅しか建てられない訳で、
    誰にとっても良さげですが
    工務店やHMにとっては
    構造計算の手間がどんと増えることになります。
    今までは構造計算書の提出を免除されていただけで
    建前上は計算していることになってましたが、
    実際はされていなかったケースが大半・・・
    住宅業界のグレーゾーンだったんですね。
    そこに国交省がメスを入れた形です。
    消費者金融のグレーゾーンの過払い金と似たような構図と
    言ったらいいでしょうか。

 

  • さてHMや工務店にとって構造計算の手間が増えることは、
    コストの上昇を意味します。
    計算をする手間
    そして、計算書を提出して認可が下りるまでの時間も
    目に見えないコストです。
    現状でも長期優良住宅の場合、4週間ほどかかってますが
    着工件数全体に占める
    長期優良住宅の割合は半分以下です。
    それが長期優良住宅並みとは言いませんが
    全ての住宅の構造計算をチェックするとなると、
    審査機関の数や人員を増やさない限り
    従来の期間では認可は下りてきません。
    今でも1か月近くかかっているのに、
    それ以上となるわけです。

 

  • そんな中上記の
    もろもろの手間を回避する道が、実はあります。
    2階建てじゃなくて平屋だったら従来通りでいいよ。
    計算書の添付は免除してあげる、となってます。
    それを見越しての平屋ブーム大作戦が
    計画されていたしたら・・・
    ニュースでは平屋と2階建ての家の図面を示して、
    同じ床面積なら平屋は
    階段や廊下が無くなるから2階建てより費用を
    削減できると言ってました。
    屋根の面積や基礎の面積が2倍になることはスルーでした。
    鎌田先生も仰ってましたが、
    平屋建ては総2階建てに比べ温熱的には
    日射取得が減ることになりますから、不利になります。
    簡単に言うと南面の窓の面積が
    2階建てに比べ制約されます。
    同じ様な面積にしようとすると
    建物の横幅(基礎幅)を倍にする必要がありますから、
    全体的なコストアップの要因となります。

 

  • いろんな話をしましたが、
    平屋がNGと言っているわけではありません。
    上記のもろもろのことを知った上で
    検討いただければ問題はありませんが、
    平屋を建てる時のポイントをお伝えします。
    平屋でも建築基準法は前提として
    構造計算をすることになっています。
    審査機関に提出しなくていいだけで、
    計算はしなければなりませんから。
    平屋を建てる時の
    契約の時には、
    構造計算書も出してもらいましょう。
    計算に余分な経費は掛かりません。
    元もと、計算しなければならないのですから。

 

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建設住宅性能評価の勧め

 

 

  • おはようございます、紙太材木店の田原です。
    昨日の夕方には雪がパラついていましたが、
    今朝は大丈夫の様です。
    この時期の初雪で朝の積雪は大渋滞の元。
    ノーマルタイヤで運転する輩が必ずいます。
    坂道が登れないとか
    田んぼにひっくり返ってとかが、
    毎年のように繰り返されます。
    今年はさて、どうなるでしょう?

 

  • 先週、可児の家の配筋検査でした。
    配筋検査は基礎コンクリートを打つ前の鉄筋の検査です。
    決められた通りの太さなのかとか
    鉄筋の組み立てられ方に間違いはないかなど、
    コンクリートを打ってからでは
    確認できないところを検査します。
    一般の住宅でも瑕疵保険で検査をしますが、
    今回の検査は、
    建設住宅性能評価による現場検査です。

 

  • 住宅の検査は大きく分けて
    義務となっている瑕疵保険によるものと
    第三者機関によるものがあります。
    第三者機関によるものは性能評価によるものと
    民間の検査専門会社(ホームインスペクター)
    のものがあります。
    性能評価によるものは
    設計住宅性能評価と
    建設住宅性能評価の二つあって、
    頭の文字の通り設計だけを検査して
    評価する設計住宅性能評価。
    建設つまり施工を検査して
    評価する建設住宅性能評価があります。
    簡単に言うと、設計住宅性能評価は
  • 図面や仕様、
    例えば断熱材に何を使うのかや
    サッシはどん種類のサッシを使うのか
    それらを使った時
    どんな性能になるかを評価するものです。
    それに対し、
    建設住宅性能評価は
    それらが図面通り間違いなく
    きちんと施工されているかを
    検査して評価するものです。
    いくら図面でいい性能の家になっていても、
    現場でのミスや間違いやがあれば
    その性能は担保されません。
    勘違いやミスは、人間ですから必ず起こります。
    それを複数の目で見ることで
    その発生リスクを低減させることができます。
    別の言葉で言うと
    監査とか査察となりますが、
    住まいを建てていく各段階で確認することで
    ミスや勘違いを是正することができます。
    つまり、その時なら
    簡単に直したり、是正することができます。
    後工程になってからの是正では
    費用も時間もかかってしまうのが、
    「その時」であれば容易に修正できますし
    再発防止や改善にもつながります。
    そのように考えれば
    とても有意義なことになります。

 

  • 一般の方と工務店やHMでは
    施工に関しては相当程度のレベル差があります。
    一般の方が見ただけでは、
    その施工の仕方が間違ってるのか
    正しいのかがわかりません。
    それを同じ専門家の目で見て
    判断してもらうことができます。
    インスペクターも性能評価も
    それなりに費用は掛かりますが、
    一般の方にそれほど浸透しているわけではありません。
    そんなことをすれば
    HMや工務店が気を悪くするんじゃないか
    信用してないんじゃないかと取られるのではと
    心配される方もいるかもしれませんが、
    きちんとやっている会社ほど歓迎されます。
    なぜなら第三者による監査や査察は、
    社員や職人の技術力向上や
    より良い住まいの開発につながるのですから。

 

  • 実は工務店って一度仕様が出来てしまうと、
    何年も同じ仕様を繰り返す傾向にあります。
    日々の仕事に追われ、
    新しい技術の学びの時間が取れなければ
    当然そうなります。
    簡単に例えると気密シートの必要性は
    多くの方の浸透してますが、
    未だにしていない
    あるいはHeat20、G1.G2の断熱性が出せない
    どうやっていいのかわからない
    学ぶことを止めてしまったら
    進歩はそこで止まります。
  • つまり経験と勘の工事の始まりです。
    検査や監査、査察は
    強制的に学びの場に立つことを意味してます。
    設計住宅性能評価や建設住宅性能評価、
    ホームインスペクターは
  • 工務店にとって学びの場でもあります。
  • .

 

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2030年 断熱性能等級5は?

 

 

 

  • おはようございます、紙太材木店の田原です。
    今朝も氷が張って、寒い朝です。
    昼間も日射は望めず、寒い一日になりそうです。

 

  • 昨日は来年の基準法改正の講習会がありました。
  • 主催は国交省です。
    丁度今ご相談を受けている方が、
    新築と増築を考えられていますからいいタイミングでした。
    来年から、新築やリフォームで確認申請を出す前に
  • 準備することがかなり増えそうです。
    実はようやくヨーロッパの最後部くらいでしょうか。
    それも、まだまだのところがありますから、
    今後も基準法や省エネ法の改正が続くでしょう。

 

  • 今の基準をクリアしてるから大丈夫?
    2年前まで断熱性能等級4は基準の最高等級で
    そのことをウリにしていたHMがありましたし、
    等級4が標準仕様ですと胸を張っていたHMもありました。
    等級4はわずかこの2年で7段階の真ん中、
    来年からは義務化レベル、つまり最低レベルになりますし
    2030年には等級5が義務化レベルで、
    等級4は既存不適格になることが既に決まってます。
    (等級4では家を建てることが認められないという意味です)

    何度も言いますが
    義務化レベルと言うのは
    最低でもこれをクリアしてね、
    最低でもですよと言うレベル。
    100点満点で言えば60点 それが義務化レベル
    2030年には、等級5が60点になります。
    あなたは 60点(等級5)を目指しますか?
    等級5のUa値は0.6
    等級6が0.46
    等級7が0.26

 

  • 等級5の0.6が60点
    等級7の0.26を100点とすると
    0.6-0.26=0.34
    0.34/40=0.0085
    これでいくと
    等級6のUa値0.46は、76.5点
    80点に届きませんね・・・
    う~ん76.5点
    80点は計算するとUa値0.43ですが、
    なんだかまだ大きな数字のような気がします。

 

  • 紙太材木店でお勧めしているUa値0.3の点数は
    計算すると95点
    2050年は24年後、
    30歳で家を建てれば54歳頃。
    カーボンニュートラルを意識すると
    決して高い点数とは言えません。

 

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誰もが容易に入手できる

 

 

  • おはようございます、紙太材木店の田原です。
    昨日、一昨日と氷点下で氷が張ってましたが今朝は3度
    そんなに寒く感じないのが不思議です。

 

  • 先日Xを見ていたら
    自然素材を勧める工務店の社長が、
    工業製品の代表のようなユニクロの服を着てるのは
    言ってることと矛盾してるとありました。
    私も自然素材の住まいを勧めてますが、
    忙しい時はマックを食べますし
    コンビ二弁当やおにぎり、サンドイッチには
  • お世話になってます。
    スーパーでもオーガニックな野菜を買うわけではありません。
    でも、にんにくを買う時は
    中国産ではなく青森産を選ぶ程度。
    矛盾していると言われればそれまでですが、
    住まいは本来50年、60年 あるいは100年と
    世代を越えて住み継がれるものであるべきだと考えます。

 

  • 住まいの中で使われる工業製品は数多くありますし、
    現代の生活スタイルから
    無くてはならない工業製品もあります。
    代表的なものは設備機器で
    家電製品などは耐用年数を過ぎれば
    どうしても交換が発生しますし、
    それはどんな家でも起こることです。
    同じ様に一般に新建材と言われる
    合板フローリングやビニルクロス、
    外壁に使われるサイディング

    塩ビシートに木目を印刷したドアや
    ドア枠、サッシ枠、
    巾木や廻り縁などは、
    ある程度の年数が来たら交換。
    あるいは補修となりますが、
    工業製品ではその多くは廃盤となります。
    設備機器のように簡単に設置、
    交換ができるかと言うとそうではありません。

 

  • それに対し100年を越す家でも
    廊下の床板や建具、壁などは
    建築時のままである
    ケースが多々あります。
    もちろん、修繕などで補修が必要なケースも
    長い間には出てきますが、
    以前と同じように直されています。
    なぜなら近所の職人さんの技術でできますし、
    資材の入手も容易だからです。

    それが本来、住まいとしてあるべき姿ではないかと考えます。
    もちろん工業製品で大量生産することで、
    コストを抑えていることによるメリットは
    建築費の高騰している現在、
    それなりに意味があります。
    ただ、コストを抑えた初期投資を抑えた
    自分が建てた自分の住む家が、
    30年か40年
    それだけの間持てばいい
    後は子供たちが何とかする
    30年か40年持てばいいから
    途中で少々傷んでも
    補修や修繕はお金を使うから我慢。
    建てる側も住む側もそんな意識が
    頭の片隅にあったのが、今までの日本です。
    その結果が
    現在の大量の家余りの世の中を作っています。

 

  • 住宅と言うのは本来地場産業であり、
    地域のお金が地域の中で廻ることを意味します。
    地域のお金が東京や大阪と言った
  • 他の地域に行ってしまえば、
    地域はどんどん痩せていきます。
    例えて言うと地方公務員の給料は
    地域に住む人の税金から出ていますが、
    その職員が東京に本社のあるHMで家を建てれば
    多くのお金が東京に行ってしまいますが、
    地場の工務店で建てれば
    多くのお金は地域で回ることになります。
    何世代にもわたって
    住み継がれるべき住まいは
    誰もがいつでも容易に入手できる
    素材や技術で作られるべきと考えます。
    それが工業製品では難しいのです。

 

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