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社長ブログケヤキの木の下で

2011年3月27日

骨抜き

おはようございます、
紙太材木店の田原です。
今朝も快晴ですが
かなり冷え込んでいます。
東北地方は雪も降るとか、
被災した人たちのことを思うと
早く暖かくなることを願うばかりです。
さて、昨日お客様と打合せをしていた時に
家の暖かさの話になりました。
お客様が知り合いの家を訪ねた時の
その家の部屋の暖かさが「重い暖かさ」だったと
表現されていました。
家の建築を考えている方は
ほとんどの人は冬暖かい家を希望されます。
その対応に
建築会社はいろいろ分かれます。
ローコスト系の会社は
必要最低限の断熱材を入れ
これが標準的な断熱材です、
どこで建てても冬は暖房が必要です、
以前に比べればずっと暖かいですよ。
確かに、20年、30年前に建てられた家よりは
暖かくなりそうですね。
差別化をはかる会社は
羊毛やセルローズ、現場発泡のウレタンを使ってますから
とても暖かいですよといいます。
断熱材の熱伝導率の表などを使って
細かく説明してくれますますから
説得力もありそうです、
それに自然素材ですから
などと言われると更に良さそうに思えてしまいます。
一般の方が暖かさを確保するために検討されるのは
断熱材の種類と厚さ、それに外断熱か充填断熱か
というところまででしょうか。
でもプロの場合はそれだけではだめで
同時に換気のことも考える必要があります。
換気をきちんとしようと思うと
必ず、気密も検討しなければなりません。
そして、断熱、換気、気密と考えてきたら
暖房器具はお客様まかせはありえません。
開放型の普及している灯油のファンヒーター
30分で部屋の二酸化炭素濃度は3000ppmを越え、
それは規制値の3倍です。
通常の家で壁付けの24時間換気扇を回していても
給気口からはほとんど新鮮な空気は入ってきません
(日経ホームビルダー2010.12参照)
気密が確保されてなければ
換気扇周囲の窓から換気扇へと
ショートカットで空気が出入りしているだけで
本当に必要な寝室や子供室、居間の換気ルートが
成立していないのです。
そして、大部分の24時間換気扇は
トイレやお風呂、洗面室など
居室以外の汚れた空気のあるところに置かれています。
寝室で親子4人が寝ていれば
夜中にはその部屋の二酸化炭素濃度は3000ppmを越えます。
二酸化炭素濃度が高い
換気されない部屋があると言う事は
当然、喘息の原因の一つである
ハウスダスト、家具や防虫剤などから出るVOCの濃度も
高くなっています。
健康で安全で安心して暮らせる家を考える時
プロとしては断熱材の種類や厚さ
と言った一般の人が考える部分だけでなく、
更に一歩進んだ
本来、家はどうあるべきかと言う
根本に立って考える必要があります。
法律で24時間換気の設置が義務付けられたから
壁付けの換気扇を付けるではなく、
その本来の目的である
1時間に0.5回、部屋の空気を入替える事が
きちんと出来ているかどうかを
確認する必要があります。
日本は法律が不備で
完了検査時にその確認を義務付けていませんが、
ヨーロッパではそれが義務付けられています。
なぜ、そんな骨抜きの法律になったか
よく考えてみて下さい。
国民や消費者の健康のための法律ではありません、
換気の確認をしなくて
胸をなでおろしている人たち
その人たちが骨抜きにしました。
換気の検査が義務付けられれば
日本の住宅の性能は飛躍的に高まったはずですが
残念ながらそれが義務付けられる事はおそらくないでしょう。
冒頭の「重い暖かさ」
断熱のみを考え、
換気が十分ではないように思われます。
暖かさか健康か
省エネか健康か
何よりも健康が一番出なければなりません。
それでは
皆さん、また明日。

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