社長ブログケヤキの木の下で
2019年10月25日
30年後の住宅業界は?
おはようございます、
紙太材木店の田原です。
先般、金子建築工業の金子会長が来られて
いろいろ話をしました。
一般の方には?かもしれませんが
新住協の金子さんと言えば
住宅性能、特に温熱環境を意識している工務店や設計事務所で
知らないところはないでしょう。
話の中でドイツの住宅業界が東ドイツと統合した後、
どのように変わっていったか話してくれました。
ベルリンの壁の上でハンマーを振り下ろして壊している映像は衝撃的で
時代が変わったと思ったことを覚えています。
統一は90年ですから今から30年ほど前。
鎌田教授の講演資料より
当時、既にドイツでは省エネや暖房負荷を意識した制度の下、
住宅が作られ始めていましたが
今から見ればまだかなり低いレベルです(そのレベルにさえ日本の制度は…)
当時、東ドイツからの住民のために住宅バブルが起きて
かなりの住宅が作られましたし、
それを大量に作るための日本で言うハウスメーカーのように
年間に何百棟も建てる会社がかなりあったそうです。
この30年の間のドイツ人の意識の変遷もあり
大手のHMは集合住宅に軸足を移し、
個人の注文住宅は地場の工務店が建てるのが一般的になっています。
これは、家を建てる住まい手の要望が多様化したことと
国が要求する性能レベルが相当高くなっていることに
大手のHMが追随できなくなったことが一因で、
画一的で大量生産することでスケールメリットを生かした経営が
多様化する要望に応えられなくなったことによるものです。
大手のHMなら
日本中、どこで建てても〇〇シリーズの家なら皆同じ
使用している建材(建具、床材、木枠、etc)も同じ
何かをかえようとすると
例えば床だけは無垢の杉板を使いたい
ドアはこんな風に作ってもらいたい
窓はこのサッシを使って欲しい
断熱性能はここまで上げて欲しい
年間の暖房負荷はこれくらいにしたい
と言ってもほとんどの場合NG
ドイツのHMは大量生産を生かすためには集合住宅に行くしかなかった。
多様化した個人の注文住宅市場は
地場の工務店が担うことになったけれど、
工務店も性能やデザインをきっちり抑えたところだけが残っていった。
日本がどうなるかは分かりませんが
工務店も必死に勉強しなければ先がありません。
日本では2020年の省エネ基準の義務化が見送られました。
上の表を見ればわかるように
ドイツでは省エネ性能を義務化しそれを数値で示しました。
このようなに数値で基準を示すと、
より性能の高い方へとその数字は独り歩きしていきます。
そうなっては困る人たちは義務化、数値化には反対します。
反対派と推進派の争いの中で
今回は推進派が破れましたが、
一般の方の省エネへの意識の流れは止められません。
より快適に、より安い燃費で暮らしたい、
そんな家を建てたいと思うのは自然な流れです。
新住協としてそんな想いに応えるためには
会員工務店や設計事務所を増やし、
そのレベルを向上させる必要があります。
先ず、手始めは気密シートの張り方でしょうか。
30年後、ドイツのようになるかは
一般の方の意識と工務店、設計事務所の努力次第でしょうか。
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