社長ブログケヤキの木の下で
2011年5月19日
Q値の2
こんにちは
紙太材木店の田原です。
もう少し昨日の続き
換気の熱損失量は、
この計算式で求めます。
換気回数×容積×0.3(比熱)=換気による熱の損失量
容積が300m3
換気回数0.5回/h
比熱 0.3
であれば
300X0.5X0.3で
45w/℃が換気による熱損失量となります。
そこで
換気であっためた空気の熱が奪われるなら
換気の時に出て行く空気と
入ってくる空気の熱を交換すればいい
と考えました。
それが顕熱交換機と呼ばれるもので
熱の交換率が80パーセント
あるいは90パーセントというものもあります。
熱交換をすると
先ほどの式が劇的に変ります。
つまり先ほどの90パーセント熱交換するなら
それは換気回数が10分の1になったと同じ事だから
300x0.5X(1-交換率)X0.3となるのです。
答えは4.5w/℃
どうです、10分の1です。
ただ、
ヨーロッパは冬期の湿度が高いので
ドイツ製の顕熱交換器が活躍してますが
それを日本に持ってくると
残念なことに結露をおこして使えません。
空気同士の熱を交換するには
とても薄く熱を伝えやすい材料で
仕切ってやればいいのですが
夏のコップに結露が出来るように
顕熱交換機の中で結露を起こしてしまうのです。
そこで、
またまた考えました。
じゃあ、一緒に水蒸気も交換してしまえば
結露は起きないはず。
で出てきたのが
全熱交換機
これなら温度だけでなく
水蒸気も交換するので
結露は起きない。
ただし水蒸気を交換するには
小さな穴が開いてなければなりません
水蒸気分子一つの大きさ
H2Oは
1000万分の3.8ミリ
でも分子群(H2O分子の集合体)として
考えると
10万分の4ミリ
つまりこれ以上の大きさの穴が開いてないと
水蒸気がスムーズに移動してくれません。
移動してくれないと
結露が起きてしまいます。
でも10万分の4ミリの穴だと
水蒸気だけでなく
VOCや匂いも移動できてしまいます。
本来室内から出さなければいけないものまで
交換して室内に戻してしまいます。
いろんなメーカーから
全熱交換機が出ていますが
この問題を解決できているところはまだありません。
でも
300x0.5X(1-交換率)X0.3
上のこの計算式はOKということになっていますから
交換率が90パーセントなら
換気によって失われる熱量は
10分の1となります。
どこか変だなぁ
と感じられても
それでいいということになってしまってます
なぜだか分かりませんが・・・
さて、上の問題の他に
以前もお話したように
全熱交換器のフィルター掃除と交換
毎週エアコンのフィルター掃除をするのが趣味
と言う人以外おそらく出来ないと思ったほうがいいでしょう。
北海道のような寒冷地での
手間隙かけた全熱交換器のメンテナンスは
それなりに意味がありますし
それは家を建てた建築会社が責任を持ってやりますが、
温暖な4地域である
このあたりで本当にそれが必要で
メンテナンスができるのか
フィルターの目詰まりは
室内空気環境に即影響がありますから
十分考える必要があります。
私には温暖なこの地域で
全熱交換器をつけるのは
ただただQ値の数字を
下げるためだけにしか思えません。
それはお客様の健康や暮らしやすさのためというより
自分の会社の都合を優先した
高価な設備の取付と
次世代省エネ基準クリアという
自己満足のためなのかもしれません。
それでは
皆さん、また明日。
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