社長ブログケヤキの木の下で
2024年5月1日
リスク 軒ゼロ
- おはようございます、紙太材木店の田原です。
杉も桧も
花粉はそろそろ終わりのようですが、
くしゃみや鼻水は相変わらずで
何か?に反応しているようです。
- 先日JIOから
「図解 木造住宅トラブルワースト20+3」
という長い題名の本が発売されました。
JIOと言うのは、日本住宅保証検査機構。
住宅の瑕疵の保証を行う会社です。
業務の範囲には住宅の品質の審査や評価があって、
雨漏れをはじめとする住宅の不具合から起こる
事故の保証を行っています。
そんな会社ですから
補償の対象になった事故や
不具合のデータが膨大にあって、
今回出版された上記の本では
そのワースト20+3が紹介されています。
- 何が原因でその不具合が発生したか
それを防ぐにはどうしたらいいか
具体的な事例を挙げて解説してありますから、
現場での施工を担う
監督や職人さん必携の書と言っていいでしょう。
ワーストは全部で23あるわけですが
そのうちの3つが軒ゼロに関してのもの。
都市部のような市街地では土地が狭小ですから、 - 有効利用から止む追えない面もあります。
シンプルなデザインになりますから、
その必要性のない立地の場所でも最近は多くあります。
もちろん、デザイン面だけではありません。
軒をゼロにすれば
軒裏に張る軒天材やその下地は不要になりますし、
もちろん、大工さんの手間も省くことができます。
工夫すれば軒樋自体も減らすことができますし、
準防火地域のようなところでは
対応した軒裏換気部材も使わなくて済みます。
ローコストな分譲住宅だけでなく、
工事費を抑える手段として
一般の設計事務所や工務店でも採用されています。
- 実際、この軒ゼロは雨漏れリスクが高いので、
採用しない工務店や設計事務所も多くあります。
理由は簡単です。
現在の住宅では、
外壁に通気層を確保しなければなりません。
もちろん屋根にも通気層が必要です。
壁と屋根で空気の流れる道を作り、
同時にそこからは水が入らないようにしなければなりません。
なかなかの設計と施工技術が必要です。
でも、それが出来ていないので、
ワースト23の内の3つに挙げられています。
つまり、経験と勘で軒ゼロを施工・・・
実績があり豊富な経験(失敗)があっても、
更に失敗を繰り返す・・・
コストが抑えられる
デザインがシンプルで人気だから
雨漏れリスクはあるけれど
これなら絶対大丈夫?と思って設計したら、 - 工事をしたら、雨漏れしました。
JIOの本では
そういうHMや工務店、設計事務所が
まだまだ多くあることを伝えています。
- 誰も雨漏れを起こそうと思って
工事をするわけではありませんが、
過信と未熟、
研究心や想像力の不足
経験と勘の優先など
住宅業界に存在する悪しき習慣が
露呈した結果のように思えます。
住まい手の方は軒ゼロのリスクを
重々意識する必要がありますし、
設計者はその設計通りに施工されているか
監理する責任があります。
現場にお任せの設計者も多くいますし、
そんな設計者に限って
雨漏れすれば責任回避に走りがちです。
軒ゼロの家をお考えの住まい手の方は、
一度本書をお読みになると
リスクの高さが分かります。
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